連載

健康・美容食として提供される「京たんくろ和牛」 に光る職人の技

地域の美と健康が動き出した【第43回】(京都府)

(株)きたやま南山は昭和46年創業の京都を代表する老舗焼肉レストラン。業界に先駆けて、環境保全型畜産に取り組む農家から和牛の1頭仕入れを実現し、安全安心な食肉の提供に取り組んできました。10年以上前から赤身肉にも注目し「健康に育った牛肉は素晴らしい健康食、美容食、長寿食」として提供し、地元民からも長く愛されています。

京たんくろ和牛

2009年には「農商工等連携事業計画」の認定を受け、「京たんくろ和牛」(短角牛と黒毛和牛の交雑牛の新ブランド)を開発。口溶けのよいサシ(脂質)と、旨味の強い赤身の二つを兼ね備えた美味しくて柔らかいヘルシーな牛肉として、昨年もテレビ番組で取り上げられるなど人気商品となっています。

また、2019年からは、次世代につなげるプロジェクトとして、北海道で自然環境や動物福祉に配慮して自然放牧された牛や羊を、独自の熟成技術・カット技術・調理技術によって、付加価値の高い健康食、美容食として提供することに挑戦しています。

とことん肉本来のおいしさを追求するために、自社店舗地下1階に肉職人研修施設「ミートカレッジ・ギューテロワール」を開き、大型食肉専用冷蔵庫、大型キッチン、販売用ショーケースなどを備え、食肉の1頭仕入れから熟成、調理、販売までを一貫して自社で行える体制を構築しています。2020年4月に取締役社長に就任した楠本公平氏は本場フランスで1年間修行を積んだプロの肉職人。入荷した肉の状態を毎日確認しながら、最高のタイミングでお客様へ提供するその技術は、京都市内の多くのシェフからも高い信頼を得ています。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、レストランは一時閉店を余儀なくされましたが、仕入れ量を減らさずに、精肉や弁当・惣菜の販売、近隣への宅配やネット通販、シェフに向けての業務用卸に注力し、生産者を支えました。昨年7月には本店レストランをリニューアル開店し、本格フレンチシェフを招き入れるなど、今年迎える創立50周年に向けて、新たな趣向を凝らした焼肉レストランとして挑戦を続けています。

中小機構近畿本部  中小企業アドバイザー(経営支援) 岩崎吉隆

ITと農業分野に精通し、農業者から一般企業まで幅広く経営アドバイスを行っている。

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