連載

奄美の伝統食材“シマアザミ”から 生まれた健康食品「向春草」

地域の美と健康が動き出した【第28回】(鹿児島県)

シマアザミの圃場 成長し白い花が咲く

シマアザミは、奄美群島以南の南西諸島や台湾の沿岸部に自生するキク科の多年草です。主に海岸部に自生し、台風や塩害に強く、古来より伝統食の材料や生薬として民間療法にも利用されていました。
NPO 法人奄美機能性食品開発研究会では、そのようなシマアザミに秘められた特性に着目し、健康食品としての可能性を追求しました。そして、琉球大学の協力により成分分析やマウスによる実証研究が行われ、その結果、シマアザミには健康に良いと言われるポリフェノールの一種であるクロロゲン酸やペクトリナリンの他に、カルシウムやマグネシウム、食物繊維も豊富に含まれることが明らかになりました。
この研究成果をもとに、前述のNPO法人のメンバーが設立した㈱ヘルシーアイランズによって、シマアザミを「心も体も若帰る。」という思いを託した健康食品「向春草(こうしゅんそう)」として製品開発・販売する事業がスタートしました。
現在同社は、徳之島を中心に、農家にシマアザミの栽培を委託し、地元で商品化するとともに、本土の企業によってOEM商品が開発され、販売されています。

向春草(シマアザミ100%商品)及びOEM商品

向春草のパウダーをスティックやタブレット(錠剤)にした商品の他に、健康食品の原料としても使用されています。その中には与那国島の長命草(ボタンボウフウ)とのコラボ商品も開発・販売されています。
離島のハンディを克服し、地域の恵みに光をあてる本事業は、地域産業資源活用事業として2018 年度に経済産業省から認定を受け、私共(独)中小機構九州でも応援しています。
シマアザミについては、肝機能や美白等の新たな機能検証が進むとともに、前述のNPO や大学、企業による機能性に関する特許も取得されています。
㈱ヘルシーアイランズでは、シマアザミの試験結果や向春草の利用者の声を反映させながら販売網を国内外に求め、健康に寄り添う新素材・商品として知名度アップと販路拡大にチャレンジしています。

(独)中小機構九州 南九州事務所新事業創出チーフアドバイザー
上加世田 俊

地方銀行およびその経済研究所に長年勤務した 経験を活かし、中小企業の新商品開発および事業計画立案・実行等の支援を行っている。

 

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