連載

泉都293年の歴史を守る化粧品原料 「肌花」と「湯の花コスメ」

地域の美と健康が動き出した【第10回】(大分県)

平成29年湯の花コスメ新商品4点

温泉の都、大分県別府市。源泉数は2,217 で世界1 位、湧出量も1 分間に83,058リットルで世界2 位を誇るわが国を代表する温泉地です。別府には代表的な温泉郷「別府八湯」があり、この八湯のなかで最も標高が高いところにあるのが「明礬温泉」で、わらぶき屋根の「湯の花小屋」が建ちならんでいます。大正末期に280 棟を数えた湯の花小屋は、平成25 年時点で23 棟に減り、そのうち㈱みょうばん湯の里(以下、同社)が17 棟を保有しています。
享保10 年、西暦1725 年に明礬温泉で現飯倉社長の祖先脇儀助が創業した同社は、今年で293 年を迎えます。創業時、薬・火薬・染物・溶接など多方面に使用されていた明礬は、時代とともに輸入品に取って代わられたものの、その原料である「湯の花」は、青粘土・かや・わらを用いた小屋作りをはじめ、国の重要無形民俗文化財にも指定された伝統技術を現代に継承しつつ、天然入浴剤として生き続けています。

湯の花商品

湯の花小屋

同社は、医薬部外品として効能又は効果を持つ「薬用湯の花」を多くの方に使用して頂くため、ハンドクリーム・マッサージソルトなど「湯の花コスメ」シリーズを開発、大分駅の雑貨店などで積極的に販売しています。この取組は、地域産業資源を活用した新事業として国の認定を受け、私ども(独)中小機構九州でも応援しています。
近年では、湯の花コスメシリーズのもとである、業務用湯の花液体原料「肌花」を開発、国際特許PCT 出願する一方、平成30 年3 月に福岡パルコ本館5 階に湯の花コスメのアンテナショップとして、雑貨店「TOMOEYA」をオープンするなど積極的に明礬温泉とその資源である湯の花のPR を拡大しています。
先人の知恵と意気込み、心を引き継ぎ、湯の花の技術・製品の素晴らしさを伝える。そんな同社のチャレンジに今後も注目したいと思います。

(独)中小機構 九州チーフアドバイザー 篠田 昌人

総合食品卸売業に勤務し小売業支援に携わる。独立後、地域メーカーの販路開拓を推進する一方、地域商社を設立、電気工事業や食品商社に出資し代表を務めるなど一貫した経営コンサルティングを行っている。

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