連載

岩手県久慈地方の山ぶどう樹液を活用した 化粧品原料の開発について

地域の美と健康が動き出した【第8回】(岩手県)

岩手県久慈市は平成25年放送のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台となった町として知られていますが、岩手県が全国一の生産量を誇る山ぶどうの県内主要産地でもあります。

山ぶどうは自然に恵まれた東北北部に多く自生している日本原産の野生ぶどうです。久慈地方では、昭和18年頃から、山野から採取される山ぶどうの果汁をジュースなどに加工し、産前産後の女性、貧血など体調不良の方へのお見舞い品などとして活用されてきました。近年では、山ぶどうにはポリフェノールが高含有し、抗肥満、抗炎症、抗光老化作用を示すことが明らかになっており、機能性食品としての利用などでも注目されています。地域では、行政及び関係団体が、産業化のための協議会や研究会を立ち上げ、山ぶどう関連産業の振興に向けて、活動を展開しています。

私共、(独)中小機構東北でも、東北の地域資源を活かした個性的な商品開発に取り組む企業を応援しており、その中で、食品製造業ながら化粧品原料の開発に取り組んでいる「㈱佐幸本店」の開発支援を実施しています。

同社はジュース製造と同時に日本で初めて山ぶどうの栽培をはじめ、約46年にわたって有機無農薬での栽培にこだわり、栽培技術をひとつひとつ確立しながら、現在では25㏊の自社農園で約6,000本の山ぶどうを栽培している企業です。化粧品原料開発にあたっては、春先のわずか2週間しか採れない希少な山ぶどう樹液に着目しました。樹液には、各種糖分やリンゴ酸などの有機酸、ミネラル類、アミノ酸類がたっぷり含まれ、大学や研究機関との共同研究により、肌に対する賦活効果や保湿効果が確認されています。

 同社では、この山ぶどう樹液を化粧品開発展や健康博覧会などといった展示会にて、化粧品メーカーや原料商社向けに販路開拓に取り組んでいるところです。これまで、自然素材にこだわる化粧品メーカーなどに採用され、化粧水として商品化されています。

中小機構 東北 チーフアドバイザー 梅津義人

 

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