連載

里山に生息する緑色の繭「天蚕」を配合したナチュラルコスメMayuco

地域の美と健康が動き出した【第82回】(神奈川県)

緑色の繭「天蚕」

左から、パーフェクトジェルクリーム、モイスチャーソープ、ハンドクリーム

(株)ファランドール(横浜)は、2000年頃にシルク化粧品の開発を開始し、現在「天蚕(てんさん)」を配合したナチュラルコスメ“Mayuco”を製造販売しています。主成分である絹(シルク)は、人の肌にこよなく近い性質をもっていて保湿性に優れている素材のため、古より化粧品の成分として活用されてきました。同社は、より安全安心な化粧品をつくるため国産まゆ(シルクの原料)を探し求め、福島県で開発された天蚕シルクフィブロインの特許を見つけ出し、県との交渉の末に許諾を得て天蚕シルク化粧品を製造することを可能にしたそうです。使用しているのは日本原産の野生のかいこで、産地の特定、飼育環境、すべてが確認できる安心安全な原料である天蚕。それら天蚕まゆは、福島県や群馬県のものを使用し、地元の養蚕農家からの期待も大きく、生産者の顔が見えるものづくりを徹底しています。

通常、シルクを構成するセリシン、フィブロインの2つのタンパク質のうち、化粧品に使用されるのはセリシンです(フィブロインは糸として利用)。しかし、Mayucoは、シルクの主要な機能を発揮するフィブロインを使用し、絹がもつ本来の機能を活かした美容成分にしています。前述した福島県の特許のすごいところは、その水溶化したフィブロインが膜を作るということ。つまり、肌の上でシルクの膜が肌の水分バランスを整え、有効成分の浸透を助けるのです。フィブロインを構成するアミノ酸は肌に必要なアミノ酸を多く含んでいるので、代謝を助けることも期待できます。

通常化粧品の原料として使用される、セリシンや加水分解シルクと違い、特許製法により天蚕シルクのもつ機能を発揮できるよう美容成分化するという強い想いを企業努力で実現しました。

Mayucoは、天蚕の養蚕農家、研究者、愛用者等、天蚕に係るすべての方と手に手を取って生まれた唯一無二の化粧品です。

(株)ファランドール https://www.farandole.co.jp/

(独)中小機構経営支援部 中小企業アドバイザー 石塚杏梨

大型展示会の主催や小売店の運営を経て、2022年より同機構のアドバイザーを担当。現在は同職に加え、展示会の主催や都内創業支援施設、並びに中小企業のマネジメント等に従事。

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