連載

米ぬかを活用し、美と健康をサポートする “おもいやり”の菓子づくりへの挑戦

 地域の美と健康が動き出した【第31回】(山形県)

銀山温泉地域の直営店(大正ろまん館)スタッフの皆さん

㈱明友(山形県尾花沢市:西塚耕一代表取締役社長)は、明治37年創業の地域を代表する老舗菓子メーカーです。くぢら餅、くるみゆべし、ずんだまんじゅう他、多くのヒット商品を生み出してきましたが、大半は地域の味や伝統を活かした郷土銘菓で、自社直営店や近隣観光拠点施設などで販売されています。

平成22年には、当時の西塚義治社長が体によい菓子づくりを開始。これまでのいわば“おもてなし”から、“おもいやり”の菓子づくりへの挑戦がスタートしました。

西塚社長は、栄養素を多く含みながらも廃棄されている米ぬかに着目。その中でも「化粧ぬか」とも言われ、日本では古来より美容のために利用されたうえに加工に適している白ぬかを選択して糀化(こうじか)することを決意しました。

国の地域産業資源活用事業の認定を受け、白ぬかを安定的に糀化する技術の取得に着手。この技術の専門家が在籍されている群馬県産業技術センターや山形大学にも指導を仰ぎました。

その取組みの中で、白ぬかを糀化することで機能性物質が増加したり、新たに生成されることが判明、抗酸化作用がありアンチエイジングに役立つとされるグルタチオン、ストレスを和らげるとされるGABA、関節の軟骨構成成分となるグルコサミン等が含まれていました(※菓子原料の糀は『化粧糠糀』(けしょうぬかこうじ)と命名)。さらに、ぬかやこうじに元々含まれる酵素の活性を保持させて菓子に加工する技術の開発にも成功し、新商品『ぬかのご褒美』を令和2年2月に商品化しました。

「ぬかのご褒美」3種セット(チョコラスク、ポン菓子、かりんとうの詰め合わせ)

白ぬかのイメージを生かしたネーミングや美や健康への意識が高い女性層向けのパッケージデザインにも拘り、上品な形状で食べやすさにも配慮された “おもいやり”の菓子づくりが実現されました。

商品は、銀山温泉地域の直営店などの他、開発ストーリーなどの情報が満載された専用Webサイトからも購入が可能です。

(独)中小機構東北本部 新事業創出チーフアドバイザー

髙橋 重彰(たかはし しげあき)

組織やプロジェクト統括等の実務経験を生かし、新事業や新商品開発他、幅広い支援を実施。

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