地域の美と健康が動き出した【第7回】(高知県)
高知県の土佐和紙は千年の歴史を誇り、地域の特産物として紙業王国土佐を作ってきた伝統産業の一つです。この産業を支えてきた背景には、良質な原料「楮(こうぞ)」の存在があります。高知の楮は、かつて朝廷や幕府への献上品としても珍重され「土佐楮」として知られています。楮の和紙は強く柔らかく、吸収性が高いことから、化粧紙として京都をはじめ多くの地域で愛されてきました。
しかし、土佐楮は生産者の高齢化、人口過疎化等により生産量が激減し、楮を使った紙も生産が減少しています。そのような状況の中、㈱三彩の属する三和製紙グループは土佐和紙と生き続けてきた企業として、この土佐楮を守り、活かしたいとの想いから、新たな商材として楮配合不織布の開発を進めてきました。現在、清流・仁淀川の恵みを受けた商品群は、生活紙を中心として美容用途としても高い評価を受けています。
そして㈱三彩は、女性目線の商品企画・広報・販売を強みとする社員が女性だけの企業です。
日々の生活の中で培われた女性ならではの経験と視点を活かした企画力により、土佐和紙の価値や文化を大切に伝えています。昨年発売した「LiggL(りぐる)楮入りパーツケアシート」は、世界初の楮配合不織布を、接着剤を使用せず水の力で接合する独自技術で作ったドライタイプのスキンケアシートです。3層構造のシートは肌触りが良く保水性に優れ、長く平滑な繊維の楮が化粧液を含むと肌に同化するように優しく密着し、効果的なスキンケアが出来る商品となりました。原料・紙の特長を知り尽くした企業ならではの商品です。
私共、中小機構四国は、地域の資源を守り、こだわった商品づくりを進める企業をこれからも応援していきます。
中小機構四国チーフアドバイザー 木下勝喜