従来のカタログや新聞・雑誌などの媒体を使った通販は、インターネット通販の台頭により市場構成比は減少している。総務省発表の「家計消費情報調査」によるとネット通販の健食支出額は、前年より3割以上増えており、健食市場でインターネットは完全に浸透したといえる。しかし中には従来の紙媒体でも購入者のニーズの細部にわたって応じるなど、専門性を生かしたマーケティングを武器に活路を見いだしている企業も存在する。
(株)ベルーナは2月18日、TBS系列のテレビ番組「がっちりマンデー!!」で10年以上ぶりに過去最高益を更新する企業の取り組みの秘訣という形で紹介された。同社の強みはターゲットを絞った専門カタログの発行にあり、購入者のニーズに応じた商品開発を展開している。161種の専門カタログを手掛け、番組では子会社㈱ナースリーによる看護師向け通販のシェアが50%以上ということも購入者である医療現場の声とともに伝えられた。さらに専門性を生かした事業として看護師の人材紹介サービスもふれられた。同社広報によると「放送終了後はコールセンターにカタログ請求の問合せが相次いだ。当日だけでも予想を大きく上回った」と反響の大きさを語っている。
ベルーナはその専門性を生かし、健康食品分野にも積極展開。グループ会社の(株)リフレは今年で創立25周年を迎える。東洋漢方研究所として設立後、カタログ通販を中心に展開していたが、現在はオンライン販売に加えテレビ、新聞広告、折込みチラシなどで露出向上。さらに他のネットやカタログ通販企業などに卸販売している点も特徴だ。機能性表示食品制度にも初期段階で対応し、『ブルーベリー&ルテイン』は異なる機能性を表示した初の受理商品として話題になった。同社担当者は「表示が消費者に魅力的でメリットがあるかという点にはこだわった。同時に価格、安全性、満足度で差別化できるかをフィルターとするなど、マーケティングありきで開発した」と振り返る。届出優先ということでなく綿密に練られたマーケティングから生まれた成果を強調。受理されたことで『ブルーベリー&ルテイン』は新規獲得1.5倍という結果につながった。
植物発酵エキス(酵素)製品などを手掛ける(有)野草酵素の購入者の中心は60代後半から70代前半の高齢者。テレビや新聞広告に力を入れている。創業当時は経営者向け雑誌の記事広告などからスタート。健康に気を配りはじめたエグゼクティブとその家族たちの支持を得た。
リピートに結びつく商品力とレスポンス重視のDM、わかりやすく伝えることを優先したクリエイティブが奏功し、現在では会社全体で売上2ケタ増を継続。酵素関連だけでも60億円ほどを売り上げる企業に成長した。酵素に関しては「ブームを感じたことは一度もない。リピート率向上で商品力の強みを感じるのに加え、DMでは一時的に中断していたお客さまが購入を再開するなどの反応が目立つ」(金井貴義社長)。独自の取り組みと的確なターゲッティングによりマーケティング効果を最大限享受している。
本記事は「健康産業新聞 1639号」に掲載しています。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50ページ)定期購読のお申し込みはこちら
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