女性の体調を整えるとして広く知られる「大豆イソフラボン」。これに並び近年注目を集めているのが「エクオール」だ。大塚製薬や小林製薬、アンファー、DHC、アサヒグループ食品等、大手メーカーからエクオール製品の上市が続く。体内でエクオールを産生できるかを調べることができる検査キットもヒット商品となっている。
先月28日、大塚製薬がゼリータイプの『エクエルジュレ』を4月3日に発売すると発表。ユーグレナは微細藻類ユーグレナにエクオールを配合したサプリメント『メディカプラスエクオール』を発売するなど、エクオール製品の上市が続いてる。
エクオールは、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインから腸内細菌により分解・産生され、吸収・排泄される代謝産物。女性ホルモン「エストロゲン」様の作用があり、ホルモンや自律神経バランスを整え骨密度低下のリスクを下げるなどの研究報告がある。加えて最近ではシワ改善効果が確かめられており、更年期を意識する女性層を中心に関心が高い。
先んじたの大塚製薬で、2014年4月にサプリメント『エクエル』を発売した。同社は18年の研究期間を経て、エクオールを産生する乳酸菌の単離、および大豆胚芽を発酵しエクオールを作る技術を開発。市場活発化の最大のきっかけは、2015年に放送されたNHKのTV番組『NHKスペシャル 腸内フローラ解明!驚異の細菌パワー』だ。番組内では、腸内フローラが健康に与える影響とともに、腸内細菌が作るエクオール物質により更年期症状(火照りや骨密度の低下)が改善されるほか、摂取した人の目じりのシワが浅くなったというエビデンスが紹介された。以降、2015年に小林製薬『発酵大豆イソフラボンエクオール』、2016年アンファー『ホルモーナ』、2017年にはアサヒグループ食品『Rakune(らくね)発酵イソフラボン&エクオール』、DHC『大豆イソフラボンエクオール』など、大手メーカーから相次いで製品が上市。アサヒグループ食品は「これまでも大豆イソフラボン製品は好調だったが、エクオールの伸びに引っ張られ2015-2016では2倍の伸長があった」と話す。アンファー、DHCも同様に、発売以降順調に販売数を伸ばしているという。
研究の中でエクオールを体内で作れる人とそうでない人がいることも解明された。これを受け開発されたのが、ヘルスケアシステムズの郵送型検査キット『ソイチェック』だ。尿を郵送するだけという手軽さと、4,100円という比較的手頃な価格により、2012年の発売当初は利用者が200人程度にとどまっていたが、昨年1月までの累計利用者は10万人を超えた。『ソイチェック』の結果に一喜一憂するブロガーの投稿もネット上で賑わっている。
各社からは「男性でも女性でも、悩みの観点からエクオールの配合が必要とあれば製品開発に取り組む」(アンファー)、「市場はまだ伸びる。エクオール+αの相乗効果を意識し、反応を見ながら拡大したい」(アサヒグループ食品)といった明るいコメントが聞かれた。市場が活性化する中、新たなアプローチの製品が期待されている。
本記事は「健康産業新聞 1640号」に掲載しています。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50ページ)定期購読のお申し込みはこちら
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