話題の人

グローバル化時代の下で輝く化粧品OEM産業に

美と健康の仕掛け人に聞く
日本コルマー㈱ 代表取締役社長 神崎 友次 氏

 日本コルマー株式会社(大阪市中央区)は化粧品受託製造の国内最大手。取引先は国内外約300 社に及ぶ。海外マーケットへの進出は早く、特に韓国、中国での実績はめざましい。少子高齢化の進む日本化粧品業界の課題と展望について話を聞いた。


いまの日本の化粧品市場について
 2008年に1 兆5000 億円台(経済産業省統計)だった化粧品市場規模は、リーマンショック後の09 年に7.5%ダウンし1 兆4000 億円台に落ち込みました。その後の年度も横ばいに推移し、回復が見られません。少子高齢化による国内マーケットの縮小は、化粧品業界も例外ではありません。確かに、05 年の薬事法改正以降、大手食品メーカーをはじめ異業種からの参入が増えていますが、縮小するマーケットの中で、競争に拍車をかけているのが現状です。しかも、消費者ニーズは多様化しアイテム数は増え、節約志向で低価格化は一層進み、厳しさは増しています。
 しかしながら、OEM 業界にはこれらの逆風をフォローの風に変える有効な手段があると私は考えています。その鍵となるのは、IT 業界をはじめ、いま家電業界でも当たり前になってきている「自前主義からの脱却」です。つまり「垂直統合型」から「水平分業型」への事業の転換です。このモデルを化粧品業界でも取り入れると、研究所や工場の稼働率が向上して、生産性も上がる、素晴らしい産業に生まれ変ることが出来るのです。
 
 化粧品業界は、これまで、新規の商品開発はもちろん企業情報や製品情報を抱え込み、外に出さないこと(クローズドイノベーション)で差別化を図って、事業を拡大してきました。それを今後はオープンにしていこうというオープンイノベーション戦略です。アップルやインテルのように工場を全く持たず生産をアウトソーシングするメーカーの形態が、化粧品業界においても必要になってきているように思うのです。
 
 また、OEM メーカーに求められているもう一点は、いかにお客様であるブランドメーカーと課題やニーズを共有化できるかではないでしょうか。これは、以前から私が提唱するODM(Original Design Manufacturing)のビジネスモデルです。コンセプト、処方開発、デザインそしてマーケティングまで関わっていくことです。そのためには、情報量の多さがモノをいいます。
グローバル社会の中、 今後の展望は何処に
 
 日本の化粧品の品質は世界の中で間違いなくトップクラスです。こだわり尽くした商品です。それゆえに当然コストはアップします。このことは、残念ながら対象マーケットは高所得者層に限定せざるを得ませんでした。国内市場が元気であった時代はそれでも良かったのでしょうが、日本の化粧品は欧米ではやはりローカルブランドなのです。
 
 一方、韓国はリーズナブルな価格帯の商品で、この間、日本が成功していなかった南米や中国、東南アジア等の発展途上国市場へ急速に展開していきました。このことは、家電業界と同様です。いま日本の企業にとって、海外展開は必須といってよいでしょう。私は、よく「茹でガエル」を例にとって話をしますが、進出を躊躇していると成長から取り残されます。これが、「茹でガエル」の類でしょう。
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