話題の人

アーユルヴェーダは、一番古くからあるデトックス法

【話題の人】
日本ナチュラルヒーリングセンター代表/日本アーユルヴェーダ協会理事/
アーユルヴェーダ融合医療協会理事 西川眞知子氏

 2月19日・20日、今年で9回目となる「統合医療展」が東京で開催される。併催セミナーの中で、アーユルヴェーダとヨーガについて西川眞知子さんが講演する(20日14:30~15:30)。西川さんに今号の特集テーマであるアンチエイジングについて聞いた。


アーユルヴェーダにおけるアンチエイジングとは?
 
 アーユルヴェーダは、引き算の医学とも言われます。生活の中で増えてしまって、不調や病気の原因となる、心や体にも過剰になった未消化物を取り除こうという考え方です。つまり、一番古くからあるデトックス法というわけです。ラサーヤナという若返り法は、正にデトックスがベースになっています。何千年も前にアンチエイジングの考え方が出来ていたということです。
 
 朝さわやかに目覚めない、日中も体が重くてだるい、排便に支障がある。これらのことはアーユルヴェーダでよく耳にするカパ、ピッタ、ヴァータといった性質(ドーシャ)が過剰になっていてバランスが崩れている健康でない状態です。
 
 重要なのは、いまの季節や時間、あなたの年齢に合った今日のベストバランスを保っているか。そして、感情や汗、便、尿といった出すものを出せているか。一方で、食べたものが血液や骨や筋肉、適度な脂肪といった組織に上手く変換されて毒素を溜めていないか。
 
 これらのことがクリアされていれば、免疫力が向上し、心も体も健康で、表情も喜びに満ちた生活をおくれるのです。
 
 熱を持つ人は暑いとき、冷えがある人は風が吹いただけで過敏に反応します。取り巻く季節や時間、場所といった置かれた環境と自分とが常に響き合っているということをアーユルヴェーダは教えてくれているのです。それは、化粧品や食べ物も、他人と同じものや、いつも同じものが良いとは限らないと考えます。
いま、「睡眠」がよく話題になりますがアーユルヴェーダで考えると?
 
 インドでは、「熟睡は神様からのプレゼント」という諺があります。アーユルヴェーダにおいて睡眠とは、その人にとって「財」をもたらす素晴らしいものと重要視されています。つまり自分の内側に持っている潜在力を引き出してくれるものです。
 
 人間はパンチャコーシャという5鞘で出来ていて、一番外側に「肉体」があって、内に向けて、「気」、「心」、「理知」、「至福」の5鞘の真ん中に「魂(本質)」が存在しているというものです。熟睡は、この真ん中の本質である自分(魂、真我)に、一日の内の何時間かでもコンタクトをとる大事な時間だと考えられています。
 
 肉体は思いが動かし、その肉体や気や心に、汚れが付くと、不安になったり、不調になったり、陰や陽に傾きすぎたりしてバランスを乱し、理知が正しい判断が出来なくなるのです。その結果は病気です。
 
 お釈迦様のことをブッダといいますが、ブッダとは目が覚めるという意味です。熟睡することで辛いことからも放たれて翌朝には新たな命を貰う、そして、気持ちをリフレッシュしてスタートできるということを示唆しています。
  
今後アーユルヴェーダは日本で浸透していくと思いますか?
 
 私は、アーユルヴェーダでトータルなライフスタイルの提案が可能かと考えています。アーユルヴェーダは、確かに急性期的処置は苦手です。しかし、一方で食や住環境など現代医療が不得手なところを受け持つことが出来ると信じています。
 
 例えば、アロマを使う場合、肩こりの時には、ラベンダー、レモングラス、ユーカリ、ローズマリーなど4種類のアロマが勧められます。アーユルヴェーダで、肩こりといえば、胃痛、運動不足、神経の使い過ぎ、といった原因まで遡って考えます。こうした考え方を活用することで、アロマだけでなく、医療や健康、美容の様々な現場で細やかなアドバイスがし易くなるように思います。人を心と体を含めたホリスティック(全体的)に見ていくこと、場所や季節、時間といった取り巻く環境と、その人の傾向などから原因を探っていくことは、国が違っても、ユニバーサルで普遍的なものです。
 
 アーユルヴェーダの意味は「生命の智恵および科学」です。人真似でない個々の健康感を持って知恵のある生き方をするお手伝いをしていきたいです。

イベント情報

PAGE TOP