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アヴェダ社長 ドミニク・コンセイユ氏
エスティー ローダーグループのアヴェダは、「地球の自然環境の保護」をミッションにかかげ、自然界由来のヘアケア、スキンケア、ボディケア、アロマ、プロフェッショナル向け製品を、世界30の国で展開している。来日中の同社ドミニク代表に、世界と日本のナチュラルコスメ市場について伺った。
日本のナチュラルコスメ市場についてはどのようにお考えでしょう?
現代人は、多かれ少なかれナチュラルであることや、安全であることに、関心を持つようになりました。そしてケミカルプロダクツを避けたい気持ちから、ナチュラルなものへ移行を図っているような人も出てきました。
ナチュラルやオーガニック製品の市場がもっとも発展している国としてドイツやフランス、イタリア、スペインといったヨーロッパの各国が挙げられます。その理由の1つに、伝統的な薬局の存在があります。これらの国の薬局は、日本のそれとは役割が違います。例えば、エッセンシャルオイルの使い方や、髪を豊かにするお勧めのナチュラル製品について、薬剤師に相談をします。これは、薬剤師になるために、ナチュラルやオーガニック、エッセンシャルオイルのカリキュラムがあり、シッカリとした知識を身に付け敬意を持って取り扱っているからです。これらの国の消費者は、こうしたナチュラルやオーガニックの正しい情報を提供する場を通じて理解を深め、積極的にライフスタイルの中で活用するまでになったと言えます。
それに比べ、日本やアジア諸国でナチュラルビューティが成長するのはこれからだと思います。事実、日本の大手コスメメーカーにおいてナチュラル製品への優先順位はまだ低いように思えます。日本のコスメの製品力やテクスチャーは世界の中でも群を抜いて優れていますが、ナチュラルやオーガニックの分野においてはまだ、成長の余地があると言えるかもしれません。米国はヨーロッパとアジアのちょうど中間に位置しているようです。
いまもナチュラルビューティ市場には沢山の製品が次々と参入しています。その中には、100%ナチュラルを目指して作った製品もあれば、自然素材が少しでも配合していればナチュラルと呼んでいる製品も混在していて、消費者の選択基準は益々難しくなっていくでしょう。私たちは、ナチュラルとは何なのか、どのように扱うべきなのかを丁寧に伝えていくことが重要だと考えています。
アヴェダの取り組みは?
私がアヴェダの社長に就任したのは2000年ですが、我々は常にオーガニック認定をもつグリーンな成分を可能な限り使用することをポリシーとして打ち出してきました。そして、より消費者への透明性を保ち説明責任を果たすために、厳しい自社基準を設け、それを第三者機関の監査で客観性を保っています。その結果、現在、アヴェダで使用する植物性原料や、エッセンシャルオイルで、オーガニック認定を受けたものが90%以上を占めるまでになりました。
また、自然界の循環にならって、地球環境や生態系に負荷をかけない製品作りを目指し、2009年には化粧品企業として世界で初めてクレードル トゥー クレードル(ゆりかごからゆりかごへ)の企業認定も取得しました。
日本のナチュラル市場は拡大のため何が必要でしょう?
大手コスメメーカー各社は、日本のナチュラル需要が欧米並みになるのはまだまだだと判断しているのでしょう。しかし、私はもう時間の問題だと考えています。ナチュラルの大きな潮流は一気に現れるでしょう。今、もうまさにその時代がきています。
そのとき、日本の先鋭的な技術力による独自のナチュラル製品や、日本発の大きなナチュラルサプライチェーンが登場していても不思議ではありません。
現在、有機農法による農地は、世界の全農地の2%にも満たないのです。まず農業の取り組みから変えなければならないでしょう。これからの10年で、ナチュラルやグリーンケミストリーといった環境に配慮した産業が、飛躍的に拡大していくのを楽しみにしています。アヴェダが少しでもそのきっかけに成れれば嬉しいですね。
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ドミニク・コンセイユ氏
2000年にアヴェダの社長に就任。サロン、スパ、スクール、販売店等の幅広いネットワークを持つグローバルビジネスを展開。ビジネスの成長とアヴェダの使命である環境保全を両立させるシステムを確立するため、強いリーダーシップを発揮している。7年間の日本滞在経験があり親日家としても知られている。