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2020年のその先を 見つめるまちづくりを〈インタビュー〉

大分県別府市長 長野 恭紘氏

別府市(大分)は、別府八湯と呼ばれる8つの温泉地を有する国際観光温泉文化都市。源泉数、湧出量ともに日本一を誇り、年間880万人の観光客が訪れる。昨年話題となった「湯~園地」は、自治体がクラウドファンディングを活用した画期的企画として注目されている。

昨年は温泉遊園地「湯~園地」が話題になりましたが?

熊本地震の影響でお客様が急に来なくなりました。そのとき、「いま我々がなすべきことは、無闇なディスカウントなどではなくて、別府に誇りを持って良さを伝えていくことだ」と思ったのです。その取り組みの1 つが「湯~園地」です。あのとき市民の気持ちがグッと一つになったのを実感しました。きっと地方創生とはそういうものなのでしょう。新しいことを何か外から持ってきたり、ハコモノを作ったりではなくて、昔からその地にあるモノを掛け合わせて繋いで、その結果、斬新な価値を生み出すこと。目の前にずっとあった「温泉」と遊園地の「別府ラクテンチ」を使ってみんなで創りあげた舞台なのです。3 日間で9,000 人のお客様をお迎えできたのは、間違いなくボランティア1,200名の力があってこそでした。エンターテイメントを上回るのは感動しかありません。感動を持って帰って頂くことがクチコミや次の来訪に繋がっていくのだと思っています。YouTube 再生数は450 万回で、今もまだ伸び続けています。

温泉への取り組みの現状について?

別府の観光客は年間約880 万人です。その内255 万人が宿泊客で、訪日外国人観光客は50 万人です。今、お勧めしているのは「二湯巡り」。別府には10ある泉質の内の7つが集まっています。この泉質数を上手く活かして、温泉を組み合せた入浴を楽しんで頂きます。例えばシャンプー効果の後に、リンス効果がある温泉といった具合です。温泉の科学的効果検証にも取り組んでいます。一昨年から「別府ONSENアカデミア」というイベントをスタートしました。今回はアスリートに焦点を当てました。活動量計で24 時間心拍数をモニタリングした結果、寝つき、深睡眠が早まり睡眠状態が改善されアスリートのリカバリー効果を確認しました。2019 年のラグビーワールドカップや20 年のオリンピック・パラリンピックのキャンプ誘致を推進する上で大きな力となるはずです。また、インバウンド同様、期待の市場であるアクティブシニア層の健康増進効果についても検証を重ねモニターツアーも実施しています。これからは、ビジネスパーソンに向けて温泉地の役割を新たに提案したいと考優位性を示めそうと。自分が目指す暮らしができ、良いアイデアが生まれて仕事の効率も上がる温泉地の提案です。一生懸命頑張って仕事で疲れた人達に別府が特別な街まちになれるでしょう。これが、我々が考える「新・湯治」の姿です。人口減少に拍車がかかる中、それぞれの温泉地が、客観的な数値データを持ってその地でのライフスタイルを提案していくことが極めて重要なのだと思います。

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