美と健康の仕掛け人に聞く
㈱ソシエ・ワールド代表取締役社長 須藤 政子 氏
昨年創業50周年を迎えた㈱ソシエ・ワールドは、現在、エステ、ヘア、スポーツ関係含め全119店舗を展開する。台湾をはじめ海外展開も積極的で、来年はいよいよ上海へも出店。創業以来「心と身体のトータルビューティ」を目指し、常に新しい分野に取り組んできた。50周年プロジェクトの集大成、「エステティック&スパ ビューティアベニュー ソシエ銀座店」を4月オープンしたばかりの須藤社長に話を聞いた。
●最近の顧客ニーズに変化について
創業以来「心と身体のトータルビューティ」を目指し、ヘアーサロンに加えエステティック、スポーツ、ネイル、ヘッドスパなど常に新しい分野に取り組んできました。その過程で、特にこの10年、お客様の美容ニーズが急速に多様化したように感じています。お客様が、ご自身の体調や都合で様々な美容や健康のサービスを選ぶようになっているのです。
例えば、長い時間でゆっくりと施術を受けたいときには純粋なエステティックサロンへ、そうじゃないときは、フィットネスや温浴施設の中のエステティックへ、もっと急ぐときはクイックマッサージへ、リフレクソロジーへと上手に使い分けていく。こちらの思いとは違って、お客様はエステティックもマッサージも、クイックもリフレも同じ平面上で見ていてその時々の基準でミックスしながら選択しています。
ソシエは百貨店やホテルの展開から、比較的年齢層の高い方が多いのですが、この3〜4年は、お嬢さまなど”次の世代”の方と一緒にご利用されるようになりました。そのとき感じるのは、販売に関しても、技術内容、まして施術時間についてまでも、”次の世代の方”は非常にシビアだということ。曖昧なことは許されません。対価の内容をきちんと説明できないと納得いただけない。私どもも、より丁寧なカウンセリングやご案内をしています。
これがあるべき姿で、これまでがおおらか過ぎたのかもしれません。お客様も成熟してきたということでしょう。
●百貨店での展開と教育について
百貨店内での展開の最大のメリットは、その信用力と宣伝力です。百貨店内での展開を始めた80年代当初は、ソシエだからでなく、あの百貨店の中のエステティックだからと選ばれた時代です。その力は絶大でした。その一方で、百貨店側から厳しい要請もありました。一回のトラブルで大切なお客様を失うかもしれないのですから当然です。私たちは、その期待に応えようと教育にひたすら力も時間も注ぎました。
私自身が、理容、美容を経てエステティックの仕事をやってきましたから、両方のことがよく分かるつもりです。そして残念ながら、同じ22歳でも理美容師とエステティシャンとではプロ意識が全く違うと感じていました。だから、まずサービス業としての心構えや考え方を一番大切にしてきました。この仕事の中に自分の存在意義や価値観をきちんと作り上げてもらいたいと考えるからです。
もうひとつは、エステティシャンとしての身体作りです。身体を壊しては、いくらいい技術があっても提供できません。徹底して「落とし腰」、「白樺のポーズ」の習得に時間をかけています。
この基本ができていれば、技術はいくらでも向上できます。お客様をキレイにするエステティックという仕事に誇りを持って、愚直なまでに繰り返していくことで自分の血肉にしていくものです。年月をかけて覚え磨いていくのです。今年も100人の新卒を採用しましたが、考え方の教育から身体作りまでをじっくりと教育を始めているところです。
幸い離職率は非常に少なく、毎月何十人かは育児休暇に入るほどです。彼女たちが復職したとき、妻となり母となったその人生経験が生きて、きっと会話にも厚みが増すはずです。美容師は感性の仕事ですから若い感性が重要。でもエステティシャンは、年齢の積み重ねがプラスになる仕事なのです。
●今後の日本のエステティックについて
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須藤政子氏
㈱ソシエ・ワールド代表取締役社長。
理容、美容を経てエステティック分野に携わり、1981年の銀座並木通り「エステde エステ銀座ワールド」1号店店長を勤めた。2007年代表取締役社長に就任。現在同社は、国内エステ75店舗、ヘア39店舗、スポーツ5店舗。独自資本で台湾19店舗を展開中、秋には1店舗増店予定。来年上海へ出展準備中。