薬剤ブランド数、ホームケア指導が武器
東京・池袋 「arrows本店」
いまやヘアサロンの定番メニューになりつつあるヘッドスパ。池袋にある「arrows」では女性の髪質や頭皮の悩みに応えようと47種類もの薬剤を取り揃えた。客単価を上げるのではなく新規の客を増やし、顧客満足度と回転を上げるのが狙いだ。
■カウンセリングで薬剤を選択
arrows本店は、池袋駅から立教大学に続く立教通りに面した路面店。1階と2階で約40坪の店内には、セット面10台、シャンプーが5台。来店するのは20代がほとんどで30〜40代は約2割。シャンプー台のうち2つがフルフラットになる半個室となっており、ここで「ヘアエステ」を提供する。
同店では、他に類を見ない16ブランド47種類のヘアエステ用薬剤を取り揃えている。中には、人気のナチュラルコスメ、ロクシタンなど普通のヘアサロンでは扱えないブランドも含まれている。サロンを運営する㈱インテンショナリーズでは、ヘアケア商材のネット通販も展開しており、豊富な品揃えを可能にしている。
施術の流れは、マイクロスコープで頭皮を見ながらカウンセリングを行い、その日の気分や好みの香りなどで客に薬剤を選んでもらう。その後ヘアソープで頭皮と髪の汚れを落とし、スカルプトリートメントで頭皮のクレンジングとマッサージを行っていく。
■回転率を上げ、失客を減らす
同社代表の内海氏は「もともとアーユルヴェーダのヘッドスパをおこなっていて人気は高かった」と話す。ところが、「取り扱う薬剤が1種類や2種類では髪質や頭皮に合わないという人も出てきた」。このことが薬剤を増やすきっかけとなった。髪質や頭皮は個人差があり、オイリー、乾燥、フケ、抜け毛など悩みも様々だ。「どのようなお客さんが来ても対応できるように薬剤を増やそうと考え、どうせなら日本一を目指そう」と。
とかく客単価アップを狙う美容業界にあって、内海社長は新規客を伸ばすことを重要視した。「ヘアサロンはカラーやパーマをすすめて客単価を上げようとするが、いまは若い女性の可処分所得が減り、当然、美容に使えるお金も減っている。その中で客単価を無理に上げようとしてもうまくいかない。一人の施術時間を減らし、回転を上げていくほうが効率的。だから、新規客を取るためにも薬剤を充実させた」と話す。
6月にヘアエステを開始した後は売り上げが約2割伸びた。男性客も増え、3割を占めるようになった。
実際にカウンセリングを行うと、日常的に使う市販のシャンプーで髪が痛んでいるケースが多いため、ホームケアの方法も指導している。ただ、商品の販売は積極的に行わず、物販比率は高くない。「スタイリストが説明した商品を客はネットで買っている」と説明。サロンでしつこく商品をすすめられなくて良いという声もある。
■集客はネット中心、SNSも活用
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