2023年は米国の大手小売業が業態を超えてヘルスケアビジネスに参入する一年となります。
まず世界最大のオンライン小売業・Amazonが39億ドルでサンフランシスコに本社を置くOne Life Healthcare Inc.が所有していたプライマリーケア組織・One Medicalの買収を完了したと発表して大きなニュースになりました。
約81万5,000人の会員と20以上の市場と214の医療機関を有した会員制サービスで、対面診療のみならずバーチャルヘルスケアも提供しています。Amazonの会員であれば、初年度は28%割引の$144(月額$12)でOne Medicalのサービス提供をスタートしています。これは有料のプライムではなく、誰もが無料で入れる会員の事を指しています。Amazonが手掛けたこの大規模なヘルスケアビジネスの買収は、2021年に創業者のジェフ・ベゾスからCEOの座を引き継いだアンディ・ジャッシー氏が行った最初の買収で、その理由は、今後はヘルスケア事業が同社の成長する大きなチャンスであると見ているからだそうです。
「顧客は常により良いものを求めており、またそれを望むことに値する存在なのです。私たちが力を合わせれば、全ての人にとってヘルスケア体験をより簡単に求めやすく、より早く、よりパーソナルに、そしてより便利にすることができると信じています」と同社は声明で述べています。
それに引き続き、今度はなんと世界最大の家電量販店・Best Buyが主に65歳以上のシニア層を対象にデジタルヘルスを活用したBest Buy Healthという新事業を立ち上げました。理由は今後米国においてベビーブーマー世代がリタイヤするからだそうで、統計によればその2/3以上がいくつかの疾患を持っているとされています。Best Buyは急な体調変化に即座に対応できるように、AIを活用したウエラブルなどで行う健康モニタリングサービスを遠隔地からの対応を含めて拡大しており、6つの州で約70か所近い医療施設を持つAtrium Healthとの提携も発表しています。