【話題の人】
順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学教授 医学博士 白澤 卓二 氏
巷では「体温を上げる」、「冷え」、「自律神経」「発酵食品」というキーワードとともに「免疫」が話題にのぼるようになった。アンチエイジング研究の白澤卓二氏に、免疫力についてや、最近のトピックスについて聞いた。
長寿のための免疫力アップとは?
米国でのアカゲザルの実験が最近話題になりました。カロリーだけ70%に制限したサルは、そうでないサルに比べ、髪の毛や皮膚にツヤがあり若々しく肉体年齢も若かったというものです。カロリー制限で細胞の老化のスピードが変わる例です。
また、体のさびるのを防ぐためにも抗酸化作用のあるフィトケミカル(植物栄養素)を多く摂取することは大事とされています。風邪を引きやすいといった免疫機能が低下しているときは大抵食生活でフィトケミカルが不十分だからです。このように栄養学でフィトケミカルとカロリーの問題は重要なこととして論じられてきました。
ところが、米国NO1のファミリードクターとして知られるジョエル・ファーマン氏が示したのは、フィトケミカルの量をカロリーで割り算する考え方です。割り算をしたその値(栄養素密度スコア)が免疫力に関係しているというのです。両方を同時に表現し、方程式にしてしまったこの主張は正に驚きであり盲点でした。
仮にニンジンがフィトケミカルの量が多くても、カロリーが高ければフィトケミカル密度が低くなるので免疫を賦活する能力は下がる。言い換えればフィトケミカルの量が多い割にカロリーが少ない物こそが免疫力が高いということです。数値の高いものからケール、クレソン、芽キャベツ、チンゲン菜、ほうれん草、ルッコラ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーと続きます。
彼はもう一つ重要な主張をしています。普段の食事で加工食品の割合が50%以上占めている場合、人間の体はその人工添加物に必ず反応するというものです。
例えば、30年前20~30代の若い女性の乳ガンの人はほとんど見かけませんでしたが、この間急増しているのは何故か。正に食生活の変化が原因ではないでしょうか。添加物は免疫能を変に刺激し続けていて長期的にみて、どんな影響が出てくるのか、保証の限りではありません。
免疫力を高めるには?
日本のアンチエイジング医療は、米国と違い、抗加齢と言うよりは、加齢制御的なアプローチだと考えています。つまり老化のスピードを遅らせることでQOLを保つということです。私は、これまで加齢のプロセスを制御して免疫機能を高め、いかに病気を予防できるかを研究してきました。その上で、アンチエイジングの基本は・・・
以下、詳細は紙面でご覧下さい。
→購読申込・問合せへ
順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学教授
白澤 卓二 氏(医学博士)
千葉大学大学院医学研究科を経て、東京都老人総合研究所老化ゲノムバイオマーカー研究チーム研究部長を経て現職。日本抗加齢医学会理事。最近の翻訳に「100歳になるまで病気にならないスーパー免疫力」(Dr.ジョエル・ファーマン著)がある。