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ゆっくり息を吐く呼吸で自律神経をコントロール

【話題の人】
順天堂大学医学部教授、日本体育協会公認スポーツドクター 小林 弘幸氏
 
 女性の美容・健康のキーワード“自律神経”。いま自律神経研究の第一人者としマスコミでも注目される順天堂大学医学部教授小林弘幸氏に、「自律神経のバランスとは何か」、「自律神経を整えるには…」、について聞いた。自律神経が、免疫、病気、生活習慣、アスリートのパフォーマンス向上に深く関わっていることが分かる。


自律神経の研究を始めたきっかけは?
 
 以前は外科で臓器移植の実験をやっていました。移植モデルを成功させるためには血流の状態が勝負です。自ずと免疫とか自律神経に関心が向いていました。まず移植の際の拒絶反応の抑制や腸の神経の成り立ちといったことから研究を始めました。1989 年のことです。
 
 一方で、日本ラグビー協会のスポーツドクターという立場もあって、スポーツシーンでのコンディショニングやトレーニング、ストレッチ、栄養指導方法を開発し、オリンピック選手やプロゴルファー、F1 などのトップアスリートへ指導を続けてきました。
 従来のトレーニングを自律神経研究者の視点で見直していくと、間違った方法があることがわかってきました。これまでごく当り前にやってきた腕やアキレス腱を伸ばすストレッチなども改善したほうが良いものがあります。常に進化しています。また、習慣化されているスポーツ直後のアイシングも今後検証が進めば、見直されてくる一つではないかと考えています。
「自律神経のバランス」とはどういう状態?
 
 自律神経の交感神経と副交感神経はいわば、車のアクセルとブレーキと考えてください。どちらもが同じように働いて安全な走行ができる。勘違いしがちですが両方が高いレベルでシーソーのようにバランスをとっていることが望ましく、その点トップアスリートは非常に優秀です。交感神経に大きく傾くかたちで体調を崩すと感染症になりやすく、副交感神経に大きく傾くとうつ病などのメンタルな病気になりやすくなります。両方が低めな場合は、自律神経のトータルパワーも低下していることになります。病気ではありませんが、非常に疲れやすく体力もない状態です。
 研究を始めた最初の頃にやった大規模な調査では、男女差に大きな特徴があることが分りました。男性は30 代辺りから急激に体力の低下を感じますが、同時に副交感神経の値がグッと落ちてバランスが崩れてくるのです。女性の方はそれが40 代になってから起こります。このことは、女性の寿命が男性より10歳前後長いことと非常に密接な関係があるのでないかと私は考えています。
自律神経のバランスを整えるには?
今後の研究や活動について

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