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フランス 温泉施設評議会理事長 ティエリー・ディボワ 氏
9月にスパ・ジャパン2012に合わせて来日したフランス温泉施設評議会理事長ティエリー・デュボワ氏に、フランスの温泉事情と、日本との違いについて聞いた。
フランスの温泉事情について
まず、日本の温泉との大きな違いは、フランスの温泉は健康保険が適用されることです。フランスの温泉療法「テルマリズム」は、リウマチや呼吸器疾患、皮膚疾患といった、12の症状について保健が適用され、年間で約52 万人が利用しています。
滞在時間は約3 週間で、費用は食事、宿泊込みで平均約1700ユーロ( 約20万円) ほどです。さらに国民のほとんどが加盟している共済組合ミチュエルから、保険適用されない分が還付されます。療養者は、特定の疾患に対して医師から温泉療法の処方箋を書いてもらいます。それを受けて温泉地の医師は、患者の病状に応じて、療法としてアフュージョンシャワーやバスタブでのマッサージ、温泉プールでの運動などを組み合わせていきます。
フランス温泉施設評議会について
現在、フランスには、89の温泉地、105の温泉施設があります。私どものフランス温泉施設評議会には、これら
のほとんどの施設が加盟しています。以前は、施設が加盟する協会は3 つに分かれていましたが、10 年位前に、1 つに統合されました。これは、健康保険制度を維持していくために、行政と交渉していく必要が出てきたためです。
行政に対する交渉では雇用の問題も重要です。温泉地の60%は、人口が5,000人以下の小さな街です。私どもでは直接、間接を含めて、約11万人の雇用を生み出しています。5,000 人規模の自治体で、温泉施設の有無は死活問題なのです。
また、一つ一つの温泉施設が個別に宣伝や告知をしていても効果的とはいえません。我々はフランスの温泉療法について一般の利用者やドクターに対し広く情報発信し、啓蒙していく必要があります。多くの施設がまとまることで、大規模な告知が可能になります。
保険適用は増えているのか?
日本の温泉について
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