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「阪急うめだ本店」のブランドミックス戦略

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6層の化粧品売場から多彩な提案

大阪市「阪急うめだ本店」

 11月21日、「阪急うめだ本店」(エイチ・ツー・オーリテイリング㈱)がグランドオープンした。新コンセプト「暮らしの劇場」は、地下2階、地上13階の全館でワクワクする生活文化情報を発信する空間(売場面積8万㎡)になること。化粧品は約100ブランド、6フロアで化粧品を販売する。進化する消費者ニーズを捉えようとする百貨店の新たな挑戦を取材した。


6フロアから提案するコスメ売り場
 扱う化粧品数はリニューアル前の80から約100ブランド(フレグランス除く)へ増やした。しかも6フロアへと縦に展開し売場面積は従来の約2,5倍に強化された。
 
 2階がメインの化粧品売り場で、同フロアの3分の2以上を占める。1階がフレグランス中心。3階は10代から20代前半が集う「うめはんシスターズ」売り場の中に、4階は25歳~30歳OLを対象にした「うめはんジェンヌ」売り場の中に、各売り場対象層にマッチする化粧品を投入した。6階は、プレミアム世代(ミセス)向けの婦人服、雑貨売り場の中に、ドモホルンリンクル、カリタ、アモーレパシフィック等のスキンケアがキャビンを構えた。2ブランドのウィッグも並ぶ。そして10階に、ちふれが入った。「各フロアの世界観を大切にして、そこにマッチする化粧品を配置した」(同広報)。
2階は“ビューティーパーク”
 
 同店が提案する美容商品群「HANKYU BEAUTY」のメイン売場の2階には、シャネル、ランコム、ディオールなど38の国内外有名ブランドが並ぶ。その周辺に、企画ゾーンやコーナー、イベントスペースが位置取り集客ポイントを形成する。その演出や、醸す高揚感はあたかもビューティーテーマパーク。いわゆる“百貨店コスメ売り場”のイメージは覆される。
 
 ブランドの垣根を超えてメークアップを体験できる「ビューティースタジオwithアップメイクアップバー」や、クチコミサイト@cosmeとコラボ展開の、テスターや検索、カウンセリングが受けられる「きれいきれいステーション」は、週末に必ず大混雑する人気スペースとなっている。
 
 「ネクストビューティーゾーン」も集客力は高い。オーガニック&ナチュラル、ヘアケア、テクノロジーコスメ、インナービューティーの4つの切り口で、体の内外からの美容商材を集めた。コスメだけでなく、お酢、ハーブティ、美容ドリンク、パンなども紹介され、試飲、試食で紹介する。ブランドで共用するヘッドスパ、フェイシャルのキャビンも人気。いずれも消費者の立場に立ったブランドミックスが効果的に機能している。
 
 改装によりスペースを増やし、以前にも増してセミナーやイベントを開催できるようになった。セルフマッサージのメソッド、香りの効果、春の新色提案などテーマも多彩。化粧品商品部バイヤー曽田啓子氏は「お客様の美容情報への強い欲求に少しでも応えられるようにと考えている。参加者はすぐに集まる。その結果、いいと思い、必要なら買って頂ける。まずご紹介することが重要」と話す。
化粧品、非常に好調な滑り出し
 
 2階が化粧品メインなのには訳がある。梅田は、JR、阪急線・阪神線、地下鉄3線が乗り入れる関西で有数の乗降客数の多いエリア。同店には、地下鉄や阪神からは地階へ、JR・阪急線から1階に、JR利用客は2階からも来店できる。グランドフロアが3つある特異な造りだからだ。
 
 各フロアの世界観の中で、2基のエスカレータ沿いに、化粧品売り場が積み上がったような構造だ。今回の売場配置について曽田氏は「フロアの想定客層が、洋服と化粧品とを自然に買い回る配置を目指した。特に6階が上手くいっている」と手応えを口にした。化粧品売場の年間目標に対して、非常に好調に推移している。PRも斬新。化粧品を婦人服とコラボさせるかと思えば、出版社の違う女性誌3誌のコラボ企画など、大胆な企画を打ち出していく。
 
 また、今後の取り組みとして、「市場では、ボディケア、ヘアケア、ネイルケアなどのパーツケアアイテムが伸長している。美容訴求の飲み物、インナービューティーも同様。これは、消費者の興味軸がライフスタイル型ビューティー重視になったから。既存のカテゴリーでもビューティーの視点を加えることで、売り方に広がりが増す。商品カテゴリーを超えてライフスタイル全般を見直していく必要がある」(曽田氏)とした。
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