【特集:アンチエイジング】
化粧品人口が年々減少する中、攻めるターゲットは、唯一ボリュームを増すシニア層か、未開拓の男性層か、または、海外市場しかない。そのとき、これまで培ってきた最先端の日本の技術や科学を集結した「アンチエイジング」は、いずれの市場においても有力な武器になるはずだ。
アンチエイジングからエイジングケアへ
「アンチエイジング」という言葉が登場して久しい。しかし、2000 年初頭に、「若返り」「老化防止」と同様に、根拠に乏しく、薬事法に触れるとして広告表現で使用出来なくなった。言葉通りの「若返り」をサプリメントや化粧品に本気で期待する消費者がいたかは疑わしいが、アンチエイジングをヒットを作る打ち出の小槌のように使おうとした企業がいたことは事実。アンチエイジングはその後、表現はエイジングケアと姿を変え、その年齢ごとのケアとしてより深くより広い年代に浸透していった。
88%の女性が求めるアンチエイジング
化粧人口とも呼ばれる15 ~ 64 歳女性の中で40 代以上が占める割合は約58%。お肌の曲がり角と言われる25 歳以上(25 歳~ 39 歳)をアンチエイジング予備軍とすると、実に約88%はエイジングケアコスメの対象となる。最もボリュームのある市場かつ激戦区といえる。エイジングケアのための化粧品開発は今後も加速する一方だ。
これまで、50 代以上向けのエイジングケア化粧品というと、ファンデーションなどのメイクアップが多かった。最近は、できてしまった老化サインを隠すだけではなく肌そのものにアプローチしようというスキンケアが数多く発売されている。大手では、資生堂「リバイタル」、花王「グレースソフィーナ」。ロート製薬「50 の恵み」、新規参入では富士フイルム「アスタリフト」、サントリー「エフアージュ」などが代表的だ。
また、65 歳以上はリタイヤによって、社会との関わりが減るから化粧品は売れないとされてきたが、最近の前期高齢者は見た目もライフスタイルも若い。化粧人口を拡大する考え方もある。また、肌の油分が少ない高齢者向けに油を落とさない洗顔料など、機能性を60 代以上に絞ったものがでてくる可能性が高いという業界関係者もいる。
加齢による肌の悩みは、シミ、シワ、乾燥、たるみに集約される。いまのトレンドは新効能として追加された抗シワだ。ただ、対象は乾燥に起因するシワのため、基本は保湿を重視した商品が増えている。