特集:インナービューティ
美容サプリ・ドリンクなどのインナービューティ市場は年々拡大を続け、2014 年の市場規模は約1300 億円と予測されている。購買層を見ると60 代以上女性が美容サプリの購入実績一位というデータも出ており、高齢者の美容商材の購入意欲が高いことが浮き彫りになった。インナービューティ商材においてもシニア層の取り込みは重要性を増している。
美容サプリ・ドリンク市場1300 億円規模へ
美容を目的としたサプリメント、健康食品、ドリンクを含むインナービューティ市場は、コラーゲン、ヒアルロン酸、プラセンタなどの美容素材を配合した美肌訴求商品が大きなシェアを占める。
2013 年の国内の美肌訴求サプリメント市場は、前年比108.2%の802 億円(富士経済)の見込み。データがある2005年の266 億円から約3 倍になった。美肌訴求ドリンクも前年比106%の451 億円と堅調だ。合算すると1253 億円で、2014 年には約1300 億円に達すると予測されている。
商品の発売は依然活発だが、飽和状態にあるとされ、各社とも差別化を図っている。配合成分の含有量を競う流れは引き続きみられるが、素材の吸収性を高めたり、複数成分配合による機能性の高さを訴求している例も多い。
日本では、美容サプリというと美容素材そのものを配合するケースが多いが、サプリメント大国のアメリカでは、美容目的にマルチビタミンや腸内環境改善、デトックス系のサプリを買うという。
有望市場はシニア層
肌を構成するコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどが加齢とともに減少していくことは、もはや常識となった。例えばコラーゲンは、20 代に比べ、40 代は2 分の1、60 代では4 分の1 程度に減少するとされる。さらに、その質も変化していき、これが、シワやたるみの大きな要因となる。また、肌のターンオーバーも遅くなるため、一旦シワが出来るとなかなか消えない。そこで、スキンケアだけでなく、新しい細胞を生み出す肌の内側にアプローチしようというインナービューティの考え方が存在感を増している。
インナービューティは、栄養バランスの良い健康的な食生活がベースにある事は言うまでもない。ただ、肌の重要な構成成分が減っているなら補給したいと考えるというのが消費者だ。
では、実際に購入している世代はどこか。総務省の家計調査を見ると健康食品の購入額は50 代以降で跳ね上がるが、これは美容食品に限ったものではない。
このほど、㈱明治が実施した調査では、コラーゲンやビタミンC などの美容食品への年間支出金額が一番多かったのは「60 代(孫有り)女性」であった。同社 健康栄養マーケティング部専任課長 頭川武郎氏は、「アミコラのシニア層へのアプローチ強化を考えている。またこの層には、なりたい自分、生き方といった価値を刺激するようなコミュニケーションが重要と考えている」と話す。
各美容素材の動向は
美容素材として圧倒的な認知を誇るコラーゲンは、2008 年頃からドリンクが相次いで発売され、市場は一気に拡大した。美容素材が次から次へと登場する中で、あらゆる美容訴求商品に配合される定番素材としてポジションを確立した。以前のような急成長は見込めないが、今後も安定的に推移すると考えられる。
ここ数年市場が拡大しているのが胎盤由来の美容素材「プラセンタ」。原料ベースの市場規模は約68 億円で前年比約10%アップした。プラセンタは、ビタミン、ミネラル、核酸、酵素、活性ペプチド、アミノ酸などを含む。独特の匂いがあったが、製造技術の進歩などでドリンク・ゼリーへの採用も進んでいる。多様な規格の原料が登場したことを受け、2013年には、日本健康・栄養食品協会(JHNFA)による「プラセンタ食品」の規格基準が策定された。
新しい成分では、産学官が連携したプロジェクトで急速に普及しているプロテオグリカンが挙げられる。もともと肌細胞内にある成分で、非常に高価だったが、青森県の弘前大学が鮭からの大量生産を可能にした。市場規模は、原料ベースで3.7 億円。2010 年から4 年間で約4 倍に拡大した。最終商品を含めると今年度80 億円と予測されており、コラーゲン、ヒアルロン酸に次ぐ市場を狙う。