〈アンチエイジング〉アンチエイジングは社会の「たしなみ」に
6月、東京で第17回日本抗加齢医学会総会が開催された。同学会の象徴的なアプローチ領域「見た目のアンチエイジング」は、単に形成的な視点ではなく、肌や、姿勢、行動から読み取れる健康状態やその相関について様々な知見が発表される。今回の慶応義塾大学川畑秀明氏の心理学・認知科学からの考察は大変興味深い内容だった。まず、人間が有する資本、経済的、社会的、文化的資本に加え、第4の資本として2000年以降注目されているのが美的・魅力的資本とされていると紹介。お金や時間を投じて自分の見た目を磨くことが重要な役割を担っており、それは、GDPの5%(ファッションを含む)、個人消費の10%にも上るというのだ。また、見た目は人の関係性の構築に重要で、無意識の内に相手の評価の手がかりを探していると言う。顔、声、からだの動き、体臭等々。最近の研究からは、酸化ストレスと顔の非対称性や魅力の程度の関係なども分かってきたとも。近い将来、顔のパターン分析でその人の生物学的、医学的リスクまでも分析することは夢ではなさそうだ。既に海外では、顔の3次元計測で病気のリスクと顔の形態の相関をみる研究も進んでいるという。美容やアンチエイジングは高齢社会のエチケット。美への投資は益々盛んになるに違いない。