ダイエット市場は、いくつかの検診数値に不安のある40代男性に代表される生活習慣病予備群と、BMIなどの数値には異常はないが部位や体型が気になる女性層がボリュームゾーンだ。常に新しい商品や理論が賑わす中、ダイエットの成功のため、「コーチング」の重要性、「IT」の活用が話題になってきた。人的サポートに強いエステティックやフィットネスの次の一手となるか。
ダイエットの「行動変容」3 要件は「密なフォロー」・「仲間」・「情報」
「ダイエット&ビューティーフェア2017」のオープニングイベント「ビューティ& ウエルネスサミット」第2 部で、健康なライフスタイルへの「行動変容とその継続」が議論された。
A.I. や画像解析を駆使するダイエットアプリ「あすけん」を展開する㈱ウィットの事業統括責任者 道江美貴子氏は、人の欲求に応えるアプリのコンテンツとは何かを紹介する一方で、人的サポート(コーチング)の重要性について語った。
また、奈良県立医科大学教授 梅田智広氏は、カラダの見える化の新事例として、現在・未来の身体寸法変化に伴う疾病リスクと医療費予測、目標達成に必要な歩数やカロリー摂取した際の歩数提案、そして、想定体型による身体動作のシュミレーション動画を紹介した。その上で、これらのデータを活用し、より具体的に「個」に対応(個適合)することとした。つまり、これからは様々なビッグデータやからだデータをパーソナライズすることが重要と述べた。
両氏の発言を受け、東京大学医学部附属病院小児科医伊藤明子氏は、行動変容に効果的なアプローチとして3 つの要件を挙げた。それは、「パーソナルな介入と密なフォロー(コーチング)」と「同じ目的を持つ仲間やグループによるソーシャルキャピタル」、そして「エビデンスの確かな健康情報の提供」だという。
「ヘルスコーチング」と「ICT」の可能性
現在、アプリを始め行動変容をサポートする多くのサービスや商品、施設が登場しているが、この3 要素を満たしているかが鍵となりそうだ。
その意味で、展示会会期中の専門セミナー「いま米国で注目のヘルスコーチング」(HealthBizWatch オーサー里見将史氏)と、「ダイエット×ITC」(mHealth Watch 編集長渡辺武友氏)の米国の最新事情2 講座は、興味深い内容となった。10 年前はカラダのデータをとるサービスが主流だったが、サービスのマネタイズや、継続性を重視し、そこに人を介入させるサービスへと進化しているという。そこにコーチの存在がある。両氏は米国のダイエットセンターのコーチングの事例を紹介し、その重性、また、モバイル(ICT)をダイエットの減量期と維持期に支援するのに有効であることなどを紹介した。確かに、擬人化された管理栄養士からの励ましや、同じ目的のコミュニティ、そしてゲーム要素などを駆使したアプリの活用は、これまで困難だった「ものぐさ層」や「介入嫌い層」へリーチする可能性を広げてくれた。
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