国センの権限強化は確実 年間苦情相談1万件のエステに向かい風
消費者行政一元化に向け、新たな省庁の創設を柱とする検討が首相官邸、自民党、内閣府で大詰めを迎えている。これと連動する形で、機能の見直しが審議されている国民生活センターの権限が強化される見通しだ。消費者トラブルの解決方法が強化され、消費者側に有利となることで、エステ業界では消費者トラブルへの対処方法の見直しを迫られるのは必至といえる。
国センには、エステティックに関して年間1万件以上の苦情や相談が寄せられる。これは業界内外で大きな課題。国セン関係者によると、これまでエステ業界などに調査協力を求めても法的根拠がなく、協力の必然性がないことから拒否されるケースが少なくなかった。しかし、国センの位置づけが法的根拠を含め明確になれば、エステ業界は従来の経産省・厚労省に加えて、国センとも正面から向き合うことが求められる。
すでに3月4日に、改正国セン法案と改正消費者契約法等案が通常国会に提出されている。前者は、ADR機能を付与するというもの。ADR機能とは、裁判外紛争解決手続の略で、裁判によらない紛争解決法、つまり「仲裁」と「調停」などにより解決を図ることを指す。
また、後者の改正消費者契約法等案では、消費者団体訴訟の導入を景表法と特商法に拡大する。被害を受けた個々の消費者に代わり、一定の要件を満たす消費者団体が差し止め請求訴訟を起こすことが可能になる。特商法の特定継続的役務提供に該当するエステティックに関しても、今後は消費者団体を相手にした訴訟も避けられない状況になる。施行は平成21年4月1日とされている。