【エステティシャン 五十嵐ゆう子】
今回は米国から美とファッションの国であるイタリアに飛びまして、世界で最も古くから現代にいたるまでイタリアのフィレンツエで営業を続けているサンタ・マリア・ノベラ薬局を訪問してまいりました。
この店の創業は1221 年で、最初は僧侶たちが自ら育てた薬草を乾燥させて調合し、数々の治療に使用し、その後1612 年からは一般的薬局として現在まで営業を続けているそうです。薬局と言っても原料のもとは花や草由来のハーブを使用するものが主で、鎮痛剤や目薬、気付け薬や、風邪や胃の痛みを緩和する薬なども売られてきましたが、最も知名度の高い商品はオーデコロン(起源はメディチ家からフランス王国に嫁ぐお姫様のために薬剤師が調合したそうです)、スキンやボディやヘアケアに使用するプロダクトから髭剃り用クリーム。口臭ケアなどの美容アイテムが有名であり、一番ポピュラーな商品は手作りのミルク石鹸だそうで、この石鹸は米国のセレブたちにも高い人気があります(大ヒット映画「羊たちの沈黙」の続編「ハンニバル」ではアンソニー・ホプキンズ演じるハンニバル・レクター博士が主役のクラリスにこの店の石鹸をプレゼントしたことで一躍世界の注目を集めました)。店内は香しいハーブと数々のアートで飾られており、薬局というより美術館の様でした。紅茶やハーブティーなども楽しめるティーハウスも併設されています。買い物方法もユニークで、自らの手でもったりバスケットに入れたりせず、気に入った商品を対面方式になっている売り場でテスターして選ぶと、各売り場のカウンターで一番最初にカードを渡され、商品の情報はそのカードに記入されます。そして 最後に支払いカウンターに行ってカードを差し出せば、選んだ商品がすでに持ち帰れる状態で準備されています。入店から買い物終了までを一貫してゆったりとストレスレスの優雅な空間が体験できるのもこの店の特徴なのだと思います。
現在はアマゾンの影響で、ヘルス&ビューティ商品をネットで購入する数は増加傾向の中において、唯一無二の買い物体験ができるサンタ・マリア・ノベラ薬局は、その歴史以上の強みがあるのだなと感じました。