スパ生き残り戦争に勝つために(空間づくり編) 第3回
取材・文/ライター 大崎百紀
今回は、ドイツ便りです。この原稿をドイツから日本に戻る飛行機の中で書いています。ドイツといえば、スパ。温泉天国です。フランクフルトから特急列車に乗って2時間弱のバーデンバーデンが有名ですが、もう少しフランクフルトに近いバドホンブルグという街にあるKur-Royal day spa(クアロイヤル・デイスパ)に行ってきました。地元客が8割という地域密着型のスパ、このエリアでは有名です。
44ヘクタール(440,000平方メートル)もあるスパパークに位置し、敷地内にはカジノもあります。こちらのスパは、今から118年前に建築され、6年前までは保険適用のメディカルトリートメントを扱うスパでしたが、2002年にリラックスを目的としたデイスパへと再生、メディカルスパ時代には、最後の皇帝も訪れたそうです。
近代的な施設でスパが多い日本とまったく異なるこの外観、歴史を感じさせます。解放的な高い天井に、なぜか声を出すことに気が引けてしまう荘厳な雰囲気。
一度に入る人数を75人に限定しているために、スペースはゆとりたっぷり。男女一緒のロッカールームで水着に着替え、用意されたバスタオルを持参し中に入ります。
施設内には、バドホンブルグからの鉱泉の中でも塩分が多いバスが1つあるのみで、それ以外はすべてサウナルーム。ほかリラクゼーションルームやカフェもありますが、基本的にこの施設では、バス(ミネラルがたっぷりなので浮かびます)に入り適度に体を消耗させる(緩める)以外は、ひたすら多種多様のサウナルームで発汗したり、合間にリラクゼーションスペースで休むという利用の仕方が主のようです。
地下にはトリートメントルームもあり、レイキやタイマッサージ、指圧などのメニューもあります。
ここで私が最も感心したのが海辺をイメージしたリラクゼーションルーム。白砂の上に、室内に用意された紙を敷いて横たわるという、ただそれだけのお部屋なのですが。横になっていたら目の前の壁に日が昇り、夕日が落ちて、闇となり、そしてまた朝日が昇る…という演出がされたのです。
少し温められた砂の上で横になっていると、いつの間にか日が暮れる…。ドイツのスパにいるのに、ビーチリゾートで休んでいるような気分になれて、これはすごいアイディア。粋な演出に驚きました。
4時間利用して40ユーロ(約6400円)でした。ドイツのスパ、やっぱり素晴らしいです。