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郊外のトータル美容施設、成功のヒント

付加価値メニュー比率30%、物販は25%
美容室RUMI(愛知県高浜市)
 愛知県高浜市は名古屋から東に1時間ほどの人口4万人の地方都市。TOYOTAのお膝元で、「福祉の街」としても知られている。老人が、市に支給されたチケットを持って美容室を訪れることも珍しくない。「美容室RUMI(ルミ)」は、こうした環境下で、赤ちゃんから老人まであらゆる層のニーズに応える「街の美容室」だ。しかし、付加価値サービスは売上の30%、通常の美容室が苦手な物販も同施設では25%を占める。トータルサービス化で成功する郊外型美容室の取組みを取材した。


顧客情報の共有とスタッフ間コミュニケーション 
 街道沿いの市営病院向かいに、このあたりでは珍しい南仏風の外観をした同施設がある。14台の駐車場スペースを持ち総面積は230坪、建て坪は100坪と郊外型美容室としても大型の部類だ。
 1階は美容室エリアで、シャンプー台5、セット台14、ウエイティングスペースのほか、ウエディングや成人式用の写真スタジオ、2階部分には、ヘッドスパスペースと施術ベッドを2台、着付けスペースを配す。スタッフは全部で19名、スタイリストが8名、レセプション1名、ネイルとスパの選任が2名。これにアシスタントスタッフが加わる。
 店舗のブランドマネージャー村松祥子氏は、18年前同市内でエステティックサロンを開業、その後家業の美容室を継いだ。エステティシャンから美容師への転進だ。5年前、同所に規模を拡大し移転した。同エリアでは珍しい外観や雰囲気、フェィシャルのサービスが人気となり顧客は急増、売上は倍増した。
 「中身のないサービスで顧客が集まってしまった。今思えば、とても危険なこと」(村松氏)と振り返る。ブームは長くは続かず、その後スタッフの離職も相次ぎ当然売上はダウン。村松氏は、「ようやく抜本的な改革に取り掛かった。特に、顧客管理、スタッフ間コミュニケーションを重点的に見直した。毎日終業前の全スタッフによる顧客カルテの確認のほかセクションミーティングも頻繁に行なった。幹部の意識が変わるとスタッフ全員の行動にも変化が出てきた」。 
美容室客1500人/月、スパは130人
 現在の美容室の客は月間約1,500人。スタッフと客のクチコミだけで拡がった。3年前、ボディトリートメントとネイルも始めた。ヘア以外のこうした付加価値メニューは、30代~50代が中心で月130人ほどが利用している。殆どがヘアの客だ。
 60分ボディプラス30分フェイシャルの希望が多く、特に、英国製の温水の入ったマット上で行うオイルボディトリートメントが人気だ。ネイルやハンド、フットケアはヘアのメニューと同時に行うことも多い。
 「リゾートスパ並みの雰囲気は提供出来ない。あくまでも健康のためのお手伝い」(村松氏)。付帯サービス好調の理由について「幹部やスタッフの徹底した顧客情報の共有とコミュニケーションの強化。ヘアスタイリング、ネイル、スパといった互いの異なる施術への理解は特に重要。客に対しては、こちらから次回の予約や施術、製品を提案し、誘導する流れが出来上がってきたこと」と分析。
 先ごろ隣の碧南市に「NOLASAPS」という完全予約のスパサロンをオープンした。ワンランク上のスパサービスというコンセプトで、VIP会員制度をつくり月額3万円の定額方式で何度でもトリートメントが受けられるシステムを導入した。
 このスパの開業が美容室ルミ内のスパサービスに意外な影響を及ぼすこととなった。売上が伸び始めたのだ。この理由も、同氏は「本格スパのオープンがきっかけで、スタッフがヘアの客に以前に増してスパの話題を提供するようになった。それが相乗効果生んだ」とスタッフのクチコミを重視する。

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