展示会の重要性 (1) – 展示会出展を止めてはいけない –
「今年は展示会への出展を止めようと考えていますが・・・」。こうした相談を昨年から頻繁にいただくようになった。理由は「不景気による経費削減」だ。しかしこれには見えない危険が伴う。
多くの企業では、展示会はどのマーケティング活動よりも売上げに貢献している。にも関わらず経営陣や営業部門、そして意外なことに展示会出展担当者さえ、その事実を把握していない。
この1年で獲得した新規受注を辿っていけば、最初の接点は展示会での名刺交換やアンケート、というケースが多いのだが、その事実が見えている企業はほとんど無いのだ。
展示会出展は多くの場合、その後1年~2年間に営業が追いかける見込み客(リード)を収集する貴重な活動なのだ。半年後に新規営業チームが「案件不足」という深刻な状況に陥っても、見込み客に会える展示会は年に1度か隔年でしか開催されない。
だから、私は冒頭のような相談に対して、こう回答している。
「展示会に出展しないことは大きなリスクがあります。そもそも展示会が問題なのですか?それとも、展示会で集めた名刺やアンケートから営業案件を作る仕組みを持っていないことが問題なのですか?」
大半の方はしばらく考えて、「仕組みが無いことです」と答える。多くの場合、それが正解なのだ。
ならば刹那的に出展をやめて、半年後に新規受注で苦しむより、展示会を徹底的に活用する仕組みを構築すべきなのだ。
では、展示会で収集したリストに本当に価値があるのか、そしてどうやって活用するのか・・・ (次号につづく。次回は2月9日(火)を予定しています。)
庭山 一郎(にわやま いちろう)
シンフォニーマーケティング株式会社(東京都中央区) 代表取締役
1962年生まれ。中央大学法学部卒。
株式会社アスクプランニングセンターなどでマーケティングプランナーとして勤務の後、1990年9月にシンフォニーマーケティング株式会社を設立。コンサルタントとして、データベースマーケティング導入計画、インターネット関連事業など約300社のマーケティングプロジェクトに参画。コンサルティングの経験を基に2000年よりBtoBにフォーカスしたデータベースマーケティングのアウトソーシング事業を開始。現在、大手企業を中心に約100社にサービスを提供している。
「BPnetスキルアップコラム(日経BP社)」や「マーケティングキャンパス」などで、世のマーケターに送る実践に基づいた様々なコラムを掲載中。
○著書:『はじめてのマーケティング100問100答』(明日香出版社)