出展成果の評価ポイント
-効果の可視化ができなければ評価できない-
「展示会で集めたリストは役に立たない」と言っている方のお話をよく聞くと、実際は効果が無いのではなく「効果が見えない」ということが多い。
展示会の効果を見るためには、展示会から受注までのプロセスを可視化するしか方法が無い。
もちろん全てを可視化することは不可能だし無意味なので、ベンチマークするポイントを決めて、そこをしっかり見れば良いのだ。
例えば、営業が今追いかけている営業案件の中の何%がどの展示会から発生したかが見えていれば、それは売上げに貢献している証明になる。受注は営業案件から発生するからだ。
営業案件は営業がフィードバックしなければ可視化できないから、SFA(セールスフォースオートメーション)と呼ばれる営業案件管理のシステムが導入され、ちゃんとルールを守って運用されていないと可視化は難しいだろう。
ならば営業案件の前の重要なプロセスに、セミナーが在る。セミナーに参加して、導入事例などを聞き、デモや実機を見た人の中から営業案件が発生する可能性が高い。だから営業部門はセミナーを開催したい。セミナー参加者は参加申込者から、参加申込者はセミナー告知のメール反応者から発生する。メール反応者はメール配信者の中から、メール配信者は保有リストの中から発生する。
この保有見込み客リストの中で最も質と量が優れているのは実は展示会で収集したものなのだ。
この展示会から受注までのフローの中のもっとも可視化しやすい部分をベンチマークすることで展示会の効果を測定することができる。
簡単に言えば、あるセミナー参加者の半分がある展示会で収集した名刺やアンケートから発生していることを証明できれば、その展示会の出展をやめろとは言われないものだ。
同じ展示会の3年分、4年分のデータを集めてセミナー来場者と付き合わせてみれば意外な程展示会が営業に貢献していることが判るものだ…
(次号につづく。次回は2月23日(火)を予定しています。)
庭山 一郎(にわやま いちろう)
シンフォニーマーケティング株式会社(東京都中央区) 代表取締役
1962年生まれ。中央大学法学部卒。
株式会社アスクプランニングセンターなどでマーケティングプランナーとして勤務の後、1990年9月にシンフォニーマーケティング株式会社を設立。コンサルタントとして、データベースマーケティング導入計画、インターネット関連事業など約300社のマーケティングプロジェクトに参画。コンサルティングの経験を基に2000年よりBtoBにフォーカスしたデータベースマーケティングのアウトソーシング事業を開始。現在、大手企業を中心に約100社にサービスを提供している。
「BPnetスキルアップコラム(日経BP社)」や「マーケティングキャンパス」などで、世のマーケターに送る実践に基づいた様々なコラムを掲載中。
○著書:『はじめてのマーケティング100問100答』(明日香出版社)