展示会の重要性(2)
-総合展だからこそ広がるチャンス-
「リード・ジェネレーション」というマーケティング用語がある。リードは「見込み客」、ジェネレーションは「創出」という意味があるので、文字通り「見込み客の収集・創出」という意味の言葉だ。
収集した見込み客がその後、営業案件を発生させ、さらにそこから受注が発生しなければ収集したリードは「ゴミ」と言われても仕方が無い。
しかし、見えていないだけで、実は多くの営業案件を発生させているとしたら、展示会の出展をやめることがどれ程直接営業にマイナスになるかがわかるだろう。
こうした可視化をするためには仕組みが必要だ。少なくとも展示会で収集した見込み客リストを管理し、メール配信などを行える仕組みがないと、可視化もセミナー集客も、反応者の測定もできない。こうした仕組みを実装するにはアウトソーシングを含めていくつかの方法があるが、どれもお金も手間も掛かる。近道は無い。
しかし、そのお金と手間を掛けてでも整備する意味は十分にある。展示会、特に総合展で収集する名刺やアンケートにはそれだけの価値があるからだ。
法人営業の場合、ある企業に製品やサービスを売り込もうと考えた場合、一人のキーマンだけをターゲットにするのはロスが多すぎる。日本企業の意思決定は欧米企業のトップダウンと異なり基本的にボトムアップ型だ。社内に張り巡らした多くのネットワークが情報を収集・選別し、合意を形成していく。だから、多くの部署の多くの人と接点(コンタクトポイント)を持った方が有利なのだ。しかし、担当営業は自分の製品やサービスの担当者だけを追いかけるし、それ以外の部署も人も面識はまるで無いことが多い。
総合展は社内の多くの人が情報収集にやってくる。それぞれ探している情報が違うし、訪問しようと思っている会社も異なるが、それでも目的のブース以外はのぞかない、という人は少なく、結局平均30社前後のブースを訪問して情報を収集することになる。
だから、ターゲット企業や顧客企業のお付き合いの無い部署の人との接点を作る目的では専門ゾーンがゆるく括られた総合展が最も効率が良いのだ。(了)
庭山 一郎(にわやま いちろう)
シンフォニーマーケティング株式会社(東京都中央区) 代表取締役
1962年生まれ。中央大学法学部卒。
株式会社アスクプランニングセンターなどでマーケティングプランナーとして勤務の後、1990年9月にシンフォニーマーケティング株式会社を設立。コンサルタントとして、データベースマーケティング導入計画、インターネット関連事業など約300社のマーケティングプロジェクトに参画。コンサルティングの経験を基に2000年よりBtoBにフォーカスしたデータベースマーケティングのアウトソーシング事業を開始。現在、大手企業を中心に約100社にサービスを提供している。
「BPnetスキルアップコラム(日経BP社)」や「マーケティングキャンパス」などで、世のマーケターに送る実践に基づいた様々なコラムを掲載中。
○著書:『はじめてのマーケティング100問100答』(明日香出版社)