「AR/ AIがもたらす美容体験の未来」をテーマにThe Global Beauty Tech Forum(主催:パーフェクト(株)) が22日、都内で開催された。化粧品ブランドや美容業界の専門家らが、美容と最先端テクノロジーの実例・課題について、プレゼンテーションやパネルディスカッションを実施。約150名が参加した。
オーダーメイドシャンプー“MEDULLA”のサービスを提供するSparty執行役員の星慧介氏は近年注目を集めるパーソナライズコスメについて紹介。“MEDULLA”は、カウンセリングをもとに処方箋を作成し、商品を提供。使用の体験データをもとに、処方の改善を繰り返していくことで、その人だけの化粧品を提供する。既に提供開始から約半年で6万人が会員登録しており、「“答え”を提示するのではなく、一緒に悩みを分かち合っていくことで継続につながっている。モノが溢れ、選択肢の多さに悩むユーザー層にパーソナライズコスメはマッチしたサービス」と星氏は語る。
またパネルディスカッションでは、拡大を続けるD to C(Direct to Consumer)市場がテーマに取り上げられた。D to Cはいわゆる通信販売のことだが、近年ではソーシャルメディアの進歩により、主にオンラインで販売展開をするブランドのことを指す。アイスタイルBeauty Tech.jp編集長の矢野貴久子氏は「特に韓国のブランドはマーケティングが上手く、2013、4年頃にはソーシャルメディアをいち早く取り入れたD to Cブランドが登場していた」と話す。今の国内のD to Cブランドの増加は、amazonによる流通ルートの確立及びネットショップの開設サービス「Shopify」により、ブランドサイトの立ち上げが容易になったことが大きいという。来年1月にD to Cのパーソナルカラーのメイクアップコスメブランド「FAVES BEAUTY」のサービスを開始するFAVORの小澤一郎代表取締役は、「今回のブランドの立ち上げも思い立って約3ヶ月で実現した。このスピード感がD to Cブランドの醍醐味」だと語った。
一方、大手化粧品企業の花王(株)コンシューマーリレーション開発部部長の鈴木愛子氏は、美しさの基準や解釈が多様化する中でARやAIが顧客との接点をサポートしていくとし、「表出した言葉や行動の裏にある顧客の本当の気持ちを理解する上で、テクノロジーの果たす役割は今後一層大きくなる」と話した。