カットやパーマだけでなくアップ、美顔、マニキュア、着付け、日本髪カツラまで美容室でこなしていた時代があった。今また、消費者のワンストップニーズを受け、エステティックやネイル、フットケアを付加してトータルビューティを謳う複合サロンが登場し始めた。ヘア、メイクアップ、ネイル、フット、エステティックのサービスをトータルに提供する東京・西荻窪の「ルーシュ(ruche)」を取材した。
駅前通りに面した場所のヘアサロン「ルーシュ」から、住宅街に少し入ったところに「ルーシュ スパ(ruche spa)」はある。3階建の一軒家を改造して、フェイシャル、ボディ、顔や背中のシェービングも出来るリラクゼーション型サロンとして昨年3月にオープンした。
店内に入ると木の風合いを生かした内装で、オーガニックブランドの化粧品ラインが壁際を彩っている。1階はネイルとフットケアを提供する。地下にはフェイシャルルームが2つ、ここでクリームバスも出来る。2階に上がると、ホテルスパを思わすスタイリッシュなトリートメントルームで、外光を程よくさえぎるテラスの鉢植えや大理石のバスルームやミストサウナが高級感を演出する。3階にも、ベッド2台とバスルームが。エステティック用の機器類は全て収納スペースに隠されている。
当初、海外のスパにならってボディ2コース、フェイシャル2コースのシンプルなメニューでスタートしたが、スパに慣れていない客には内容がうまく伝わらず、結局デトックス、ホワイトニング、リフトアップといったメニューに変更した。現在はセラピスト2名が1日9~10人の顧客をこなす。月間千人は訪れるヘアサロンの客にはお知らせをする程度で、顧客データも共有化していない。オーナーの斉木幸男氏は「別個の店舗と考えている。エステとスパの融合した施設を目指している」と話した。
■6年前美容室内でフェイシャルを
斉木氏は理容師からスタートした。その後、美容師の資格を取得し12年前西荻窪に16坪の美容室をスタッフ3人でオープンした。このとき眉カットや鼻パックはメニューに入れた。その後、スタッフも10人になり手狭になったのを機に現在の場所に28坪の「ルーシュ」をオープンする。6年前のことだった。この時エステティックやネイルケアを取り入れた。奥の8坪の個室に、ベッド2台を置いてフェイシャルを始めた。
当時こうした複合サロンは珍しく多くの女性誌に取り上げられ話題を呼んだ。しかしサロンと併設していることのマイナス面も大きかった。専門店に比べ各々の技術のレベルが低いのではと見られた。「いずれもスペシャリストでなければならない」と斉木氏は言う。