フォンテヴェルデ・ナチュラル・スパリゾート
【特集:スパ】「癒し」から「健康効果」へ
美と健康サービスへのニーズの調査報告に、公益財団法人日本生産性本部が2008年、09 年に経済産業省の委託を受けて実施したインターネット調査「消費者調査に基づく美と健康分野サービス産業の市場開発研究」から、スパの課題を探る。
「健康効果」への期待レベルが課題
美と健康に関わる各サービスの顕在市場と潜在市場の推計比較から、スパを始め各サービスとも現在の2~3倍の市場拡大するポテンシャルを有していることが見てとれる。
各サービスの利用目的については、フィットネスやヨガは「運動不足解消」、「健康の維持増進」、エステは「美肌、アンチエイジング」と順当な回答が多数を占め、各サービスに共通して多いのは「気分転換、ストレス解消」であることが分かる。
スパ・温浴施設においても「気分転換、ストレス解消」がダントツの高い数字を示しているが、次に「疲労回復、体の不具合解消等」が続くものの、業界がもっとも期待したい「健康の維持、増進」が意外にも低い数字を示している。調査では、消費者はスパに健康の維持、増進を期待していない。
いま、世界の潮流である「ウエルネス」産業の中核にスパを位置づけ、成長させようと考えているスパ業界にとって、ショックキングな数字といえる。だがこのことがいま日本のスパ業界が抱える課題であり、今後へのビジネスチャンスといえるのではないだろうか。
求められる健康効果のエビデンス
スパの健康効果については、2~3 年前から幾つかの検証がなされている。
08 年の国際抗疲労学会ではスパと脳波の関係が発表された。首都圏の30~50 代女性12 人を対象に沖縄本島北部のリゾート地で実験を行った。スパ体験後は集中力を発揮することを示すアルファ波と、浅い睡眠状態に計測されるシータ波が体験前の約3 倍程度脳全体で増加していた。ベータ波も前頭葉で増加することが分かった。(当時、北陸先端科学技術大学院大学の一石英一郎教授のグループ)
また、琉球大学の荒川雅志准教授は、海水浮遊のリラクゼーション効果実証、海を利用した健康増進プログラムの開発と計測、ヘルスツーリズムへの応用モデル開発へ着手している。
最近では、温泉地のスパで使用するファンゴ(温泉泥)の温熱や肌への効果を検証する研究を始めたグループもある。
少しずつだが着実にスパの健康効果が解明されている。こうした研究成果をもっと広く消費者へ発信して、消費者の認識を「スパ=癒し」から、「スパ=健康効果」へと変化させていくことが重要だ。
美と健康サービスをコーディネートする力
以下詳細は紙面にてお読み下さい。