〈インタビュー〉㈱プロラボホールディングス代表取締役会長兼CEO 一般財団法人内面美容医学財団(IBMF)主幹 佐々木 広行 氏
インナービューティを軸としたサービス展開とともに、予防医療・ウェルエイジングをテーマに腸内環境から口腔内環境、整体といった健康関連の団体のプロデュースに取り組んできた佐々木氏。「健康や美容に対する考え方が見直されつつある今こそ、業界にとってはチャンスの時」と話す。
2020年を振り返って
コロナは我々にとっても大変な脅威でした。一時は売り上げも2 割近くに落ち込み、先行きが見えずに不安な思いがありました。ただ予期しなかったのですが、昨年の6 月、7 月頃から健康や免疫への意識が高まり、売り上げが前年比を上回りました。皮肉ではありますが、腸を健康にすることが健康美容に繋がるという私たちの取り組みが見直されるきっかけになったのです。現在約1 万5000 店舗のエステティックサロンやクリニック等に商品を供給させていただいていますが、来店客が減っても、物販への意識が高ま
り、取引を希望される事業者がこれまで以上に増えたような気がしています。LINE やSNS などでお客様とコミュニケーションをとり、役務売上が減った部分を物販で補っていただいているようです。取引先は自宅サロンや、2、3 人程度の小規模事業者が多いため、状況にあわせて素早く展換をしているように感じます。
今年のビジネスの動向は?
この春頃をピークに飲食関連企業も含めて非常に厳しい時期がやってくると予た準備が必要となります。健康は睡眠、運動とともに、食生活が中心にあり、そうした意味でも我々の取り組む“腸活”が、改めて見直されたことは本当に良かったと思っています。現在消費は冷え込んでいますが、健康を土台とした美容への意識は高まっています。我々はこれをチャンスとして考えていかなければいけません。
海外については、1 年後にはワクチンが流通し、かなり普通の生活に戻っているのではないかと思っています。まずは政府レベルの行き来から再開し、春には交易ができるような仕組みもでき、徐々にビジネスも規制が緩和していくでしょう。これまで我慢した分、3 年後、5 年後には以前を超えるインバウンドブームがやってくるでしょう。また日本発の発酵食品文化やおもてなしが注目されています。今後、国も健康関連のビジネスにさらに力を入れていくと信じています。
美容・健康業界の今後は?
我々はウェルエイジングをテーマに、健康に関する団体のプロデュースもさせていただいています。予防医療・予防美容・栄養学・内容美容・ファスティング等の学術的研究活動を行う(一財)内面美容医学財団では、エステティックや治療院の経営者、スポーツジムのトレーナーなどの方々が、カウンセリングに活かせるよう最新の栄養学や腸内細菌学の知識を学んでいただいています。“ファスティング” も我々がはじめた10年前に比べてガラッと見方が変わり, 現在では医療従事者も注目し、年間100 万件近いエビデンスが世界中で発表されています。今後さらにこうした動きが加速するのではと見ています。
またこれからはエステテティックや治療院、リラクゼーションなど、業態ごとの縦割りで考えるのではなく、一つの“ヘルスケアサービス” として行政機関ともパイプを持ち、産業として育成していくべきです。エステティシャンも治療院で提供するような技術も習得すべきですし、その逆も然りです。美容だ、健康だと分けるのではなく、トータルなサービスとしてまとまっていくことで、エステティシャンの方々の新たなビジネスへのモデルチェンジにもつながるのではないか、私はいまそれを目指して活動しています。
ささき ひろゆき
1991年早稲田大学教育学部卒業。セコム株式会社を経て1998年に起業。フリーペーパー発行会社(株)ウィズダム教育通信社を設立。2002年に㈱プロラボホールディングスを創業し、2007年にハーブティーや発酵飲料等の高品質インナービューティ製品『Esthe Pro Labo(エステプロラボ)』ブランドを開発。現在、中国、マカオ、香港、シンガポール、ベトナム、マレーシアなどの海外にも展開する。国内7ヶ所に有資格者によるファスティングや食生活分析を行う直営のカウンセリングサロンも開設している。