昨年末に「@cosme ベストコスメアワー ド 2020」が発表され、7 年ぶりにスキン ケア商品である「ジェニフィック アドバンスト N」(ランコム)が総合大賞に選ばれた。肌の“免疫” アップのコンセプトや有償サンプルの取り組みなど、生活様式や価値観の変化、化粧機会の減少にあわせた商品づくりが消費者のこころをつかんだ。ライフスタイルの変化が美容業界にもたらす新たな動きに注目したい。
ベストトレンドに“おうち美容”
@cosme が昨年末に発表した「2020 ベストトレンドキーワード」に選ばれたのが「おうち美容」だ。SNS や youtube にお いてオンライン会議用メイクや自宅でできるワークアウト、セルフヘアカラーなどの動画が続々配信され、女性誌をはじめとする各種メディアでの特集や化粧品メーカーのオウンドメディアによる情報発信も積極的に行われた。テレワークが本格的に導入され、最低限の外出のみが続く中で、自宅でできる美容法に注目が集まっているようだ。
その他は、マスク着用による肌荒れや 着用時の簡単メイクが流行したことで「ス キンケア重視」「マスクメイク」、こまめな手洗いによる肌荒れ増加による「ハンドケア重視」、運動不足で自宅トレーニングが増加したことで「ボディメイクはじめた」など、“STAY HOME” や “マスク 生活” 関連のワードが続いた。今年も同様の生活がしばらく続くことが予想され、 引き続き市場に大きな影響を与えることになりそうだ。
パーソナライズ・メンズ市場が拡大
昨年富士経済が発表した「パーソナライズ化粧品市場」の 2019 年の市場規模は 130 億円で、2015 年比の約 3 倍となった。市場規模は全体に比べてまだまだ小さいものの、多少コストがかかっても 自分自身にあったアイテムを使用したいと志向する層を中心に需要が増加。2019 年に IoT スキンケアサービス「Optune(オ プチューン)」(資生堂)が本格展開を開始したほか、「APEX」(ポーラ)のリニューアル、パーソナルヘアケアブランド 「MEDULLA」(Sparty)の認知度拡大といった動きに加え、参入ブランドが増えたことで市場の拡大につながっている。
メンズコスメも若年層を中心に引き続き 拡大傾向が見られる。富士経済によると 2019 年のメンズフェイスケア市場は前年比 5.3% 増の257 億円で、効果的なスキンケアの方法の浸透により、洗顔料に加え、化粧水や乳液など整肌料の使用率が上昇しているという。昨年 9 月にはコー セーの子会社・コーセーコスメポートから初の男性用トータルスキンケアブランド 「マニフィーク」が発売開始。メンズコス メ市場に本格参戦した。またメンズスキンケアブランド「BULK HOMME( バルク オム )」は、EC を中心に売り上げが好調に推移し、2020 年の上半期だけで 100 万本以上出荷しているという。
また高齢化にともなう「訪問美容」の ニーズが高まっている。外出自粛などの 影響から、今まで美容室を利用してきた高齢者が訪問理美容に切り替える兆しが あるほか、サービスを利用させたいと考える介護者も増えているようだ。(ホット ペッパービューティーアカデミー調べ)さら人にも環境にも優しいコスメ「クリーン ビューティ」が国内でも徐々に浸透しつつ あり、資生堂の「ベアミネラル」、「バウム」 や 花 王の「アスレティア」、コーセー 「AWAKE」など、大手メーカーの取り組 みも進み、オーガニックや SDGs が社会 の関心を集める中で、今後さらに拡大していくことが予測される。
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