行政・業界動向

『「知」の集積と活用の場』でユコウ・カニ等 機能性開発による成果報告

農林水産省の『「知」の集積と活用の場』の研究開発プラットフォームで生み出された研究成果や商品化事例について2月3日、オンラインで成果報告会が行われた。

『「知」の集積と活用の場』は農林水産・食品分野に異分野のアイデアや技術を導入することで革新的な研究成果を生み出し、新たな商品を開発、事業化するための産学官連携のオープンイノベーションを目指す取り組みで、現在約3,700名が会員登録、170近くの研究開発プラットフォームが設立されている。

報告会では4つのプラットフォームによる成果報告が行われた。香酸柑橘類の新たな可能性により、高齢化、過疎化、農業衰退などの社会問題解決に取り組む徳島大学発のプロジェクト「徳島クワトロシトラス」からは、徳島県産 香酸柑橘ユコウ類の機能性研究に関する発表が行われた。ゆずとだいだいの自然交雑種であるユコウは、20kgあたり1,000円と商品価値が非常に低いことから、同プロジェクトではユコウの木を守るべく付加価値を高める研究を実施。ユコウが腐りにくく、熟しても木から落ちにくいという特性をもつことから抗菌性に着目。マウス実験により、ユコウ果汁が大腸細菌叢に働きかけ、抗肥満・抗糖尿病作用で知られる善玉菌の増加を食確認している。さらに継続摂取することで唾液中の抗菌ペプチドを増加させることで、口腔環境を整える作用も見つかったと発表した。今後機能性を活用した新しい商品展開を予定しているという。

また鳥取県の地域資源であるカニの殻を有効活用するため、カニ殻の主成分・キチンから開発した新素材「キチンナノファイバー」について、鳥取大学発ベンチャー・㈱マリンナノファイバー代表の伊福伸介氏が報告。肌に関する機能として、創傷治癒機能、育毛・発毛効果、皮膚炎緩和効果などを確認。さらに脂肪の吸収抑制やコレステロールの低減などの効果も確認しており、これからの製品展開についても紹介した。

 

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