五十嵐ゆうこの米国発、ビューティ&ウエルネス情報(2)
現在、米国のドラッグストアやスーパーマーケット内では、男性専用のお手入れコーナーであるMen’s Grooming セクションの強化を行うことで売上向上に繋がるポテンシャルを生み出せるという思考が広まりつつあります。
例えば米国大手のドラッグストアWalgreen 社傘下でニューヨーク州を中心に展開するドラッグストアチェーンのDuane Reade はメンズの化粧品セクションをダークブルーで目立つカラーに変え、アップスケールな有名ブランドのラインも増やしたアピールを開始し始めました。
テキサス州でチェーン展開している食料品マーケットのH.E. Butt では2010 年から試験的に”Men’s Zone” という500 種類以上にも及ぶスキンケア、コロンや髭剃り用商品を提供しています。売場には小さなタッチスクリーンを設置して簡単なスキンケアのアドバイスなどが見れるようになっています。ここにはハイエンド商品である”Hugo Boss”, “Diesel”, “Dolce& Gabbana” や”ISSEY MIYAKE” などの男性用コロンもガラスケースに入れて販売されており、食料品専門マーケットの品揃えでここまでやるのかと、ある意味驚いてしまうほどです。
店舗のパートナーで商品の提供に協力しているP&G のスポークスマンは「男性客と言うものは、その商品がどのような効果があり、使用法が“朝のお手入れ用”とか、“髭剃り後の乾燥した肌に”とか、簡潔かつ明瞭に説明されていれば、即決で購買する傾向にあり、女性客が商品を選ぶ時間よりも短くリピーターになる可能性も高いのです。」と語っています。
店舗はこのセクションを取り入れたことで男性用化粧品の売上が11%もあがり、男性ボディー専用ソープはなんと37%も伸びたそうです。面白い事に、リーマンショックの直後は一般小売店における男性化粧品の販売は落ち込みましたが、その間に低価格を売りにするWal-Mart の売上が向上した一因の中には、男性化粧品の購入がWal-Mart で伸びたことも関係してたのだという専門家の意見があります。それを裏づける要因としてWal-Mart は男性用化粧品売場のアップグレードを行なっているからです。
ニューヨーク州拠点の消費者調査会社ミンテルは、化粧品を購入している男性客の4 割はWal-Mart で買っているというレポートを出していますが、その反面で収入が比較的高く、シングルの男性グループは信用できる商品には多少の出費もいとわないというケースも出てきており、これは経済が上向きになると同時に男性化粧品に対する売上増加のチャンスも確実に増えていくと言う意味を含んでいます。
そして比較的お金を持ち、元気で健康なベビーブーマー世代の男性達はアンチエイジング商品を求め始めています。今、男性用化粧品の成長は新業態を生み出す可能性を確実に秘めているのかもしれません。