行政・業界動向

免疫ニーズ受け「腸内環境サポート市場」活性化 機能性研究が進み多彩なエビデンスも

免疫ニーズで乳酸菌需要増

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景に消費者の健康意識が向上し、体調・免疫サポート食品市場が拡大している。富士経済が今年 4 月に発表した 2020 年の H・B フーズの国内市場(健康食品市場と機能性食品市場を合算)規模は、前年比 0.8%増の 2 兆 4,482 億円(見込)で、外出自粛やインバウンド需要のマイナスは大きかったものの、体調管理や免疫賦活作用、スポーツサポート関連アイテムが好調に推移し、微増となった。その中で免疫賦活作用製品は1,676 億円(昨年比 8.6%増)で、機能性表示食品制度では昨年 11 月「キリン iMUSE」シリーズが免疫機能に関するヘルスクレームを表示する商品として発売されて以降、既に 16 品が受理されており、市場拡大への機運が高まっている。素材別では乳酸菌類の 2020 年の市場規模は、前年比 10.0%増の 4,326 億円(見込)。

外出自粛でヨーグルトの家庭内需要が高まるとともに、各メディアで乳酸菌・ビフィズス菌と免疫の関係が取り上げられたことや、免疫力を高める機能性が評価されていることから、今後も市場の拡大が予測されている。
大塚製薬では植物由来乳酸菌「乳酸菌 B240」成分を用いた『ボディメンテ』が好調だ。同社米国子会社ファーマバイト社のサプリメントブランド『ネイチャーメイド』シリーズも、昨年からの急速な健康管理意識の高まりにより需要が伸び、増産体制をとっている。1971 年に米国で誕生し、品質・安全性において信頼の高いブランドとして知られているが、ビタミン D や C を中心に 2021 年第一四半期は大幅増収となった。

環境変化やストレスが腸・肌に影響

近年、脳と腸が自律神経系や液性因子(ホルモンやサイトカインなど)を介して、密接につながっていることもわかってきている。今年 4 月に㈱ヤクルト本社が全国の 20 代~ 60 代の働く男女 9,400人を対象にした「ストレス・睡眠と腸の健康意識調査」では、腸年齢チェックシートによる調査を実施。腸年齢が高い人ほどストレスや睡眠悩みを感じる度合いが強かったという。同時に「実年齢より若い」と判定された人が 60 代で最も多く、「腸はもはや老人」と診断された年代は 20代が最も多いという結果も出ている。
また昨年 9 月に森永乳業が全国 1 万人以上を対象に実施した「大腸環境」実態調査では、新しい生活様式に慣れず、体調の変化を感じている人が増加していることから、働き方別に1週間の排便日数を調査。ほぼ毎日(週 4 日以上)出勤している人とテレワークで働いている人では、毎日排便している人の割合が平均で 約 1.3 倍もの差がでたという。
便秘や腸内環境の乱れが肌に及ぼす影響も大きく、資生堂の『N.O.U』やポーラ『4 種のビフィズス菌 Fine treat』、コーセー『ホワイトロジスト オーバーナイト インナー プラス』など、大手化粧品会社も腸内環境に着目したインナービューティアイテムを多数展開している。

DIET&BEAUTY 初夏号(2021)より抜粋 続きはこちらから

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