特集

いまスパユーザーは何処にいるか!

【特集:スパ】

110630-spa_se.jpg沖縄県島嶼地域の島スパ

 5 月、世界のスパ業界のトップが集結する「グローバルスパサミット(以下GSS)」が、バリ(インドネシア)で開催された。第5 回目の「GSS」のテーマは「顧客・ビジネス・将来」。長引く不況下、いまスパの客は何処にいるのか、どうすれば獲得できるのか、が議論されたという。参加者への取材から今後の日本のスパ産業のビジネスチャンスは何処にあるのかを考察する。


●世界の潮流は「ラグジュアリー」から「ウエルネス」へ
 ここ数年、世界のスパの潮流は、「ラグジュアリーなだけの癒し」から、「ウエルネス効果」へ変化したと言われている。一時拡大したアメリカ型のデイスパやラグジュアリーホテルのスパから、保養目的のヨーロッパ型の伝統的なスパの価値を再認識する傾向だ。とくにリーマンショック以降、高級感より心身の健康を求める傾向は強くなり、健康・美容効果やそのエビデンスを重視するニーズが高まってきたという。
 そうした中、日本でも、宴会・娯楽型の温泉地の衰退で、これからの進路を模索するホテル・旅館が多く、観光と地域活性を満たすウエルネスツーリズム、メディカルツーリズムへの期待は高まっている。国が進めるパーソナルヘルスレコードやメディカルツーリズム実証事業も本格化してきた。昨年の展示会「スパ・ジャパン2010」では、本格的な滞在型スパ「フォンテベルデ」(伊)のスパマネージャーの、その理念やプログラムに関する講演に関心が集まった。
●国内の利用者調査では、健康効果への期待は少ない
 一方で、現実的な利用実態調査結果がある。このほど㈱リクルート ビューティワールド総研は、スパのイメージ像と利用実態調査の結果を発表した(対象:1 都3 県の20~49 歳女性1200 人、参照図1. 図2)。同社の分析では、「利用経験者」は7 割。その人気施設は「東京ドームシティラクーア」や「スパリゾートハワイアンズ」等の温泉をテーマにしたアミューズメントスパ。気になる『スパに対してのイメージ』については、「リラクゼーションメニューのある施設」という回答が多く、「スパ=温泉×アトラクション」という認識の人が多いという実態がわかった。
 『スパへの期待』は、「精神的にリラックスできること」、「のんびるできること」が高い。残念ながら「健康効果への期待」は少ない。
 平成21 年に実施された経済産業省の美と健康のニーズを探る目的の調査でもスパ・温浴への目的は「ストレス解消」がダントツであった。残念だが、現在のところ、スパを全面的にウエルネスへ舵を切るには時期尚早といえそうだ。
 昨年の「スパ・ジャパン2010」のスパ・シンポジウムで、TheDaySpa オーナーの河崎多恵氏の「ウエルネスにしろ、訪日外国人客対策にしろ、いずれ受け入れるべき変化かもしれない。でも導入のタイミングやそのバランスなどは十分吟味しなければならない」という運営者の立場のコメントが現状の国内スパを物語っている。
 時代背景や国内スパの置かれた状況から、「ウエルネス」、「外国人客」は間違いなく次代のキーワードではある。しかし今は、市場は未成熟、間合いが重要だ。星野リゾートは運営する各施設で、その地域ならではの滞在型のウエルネスプログラムを打ち出して話題を呼んでいる。だからといって全ての客をプログラム対象客にしているわけではない。月に何回か、一回に何組かのお客様に提供している。このあたりのバランスが重要なのかもしれない。
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