連載

米国ヘルスケア業界に大きな変化が訪れようとしている(Big Changes Coming to Health Care in the US)

Dollar General

今、2万店舗に近づく全米最多の店舗数のダラーストアチェーン、Dollar Generalが小型フォーマットと低価格を武器に、健康食品事業の強化とヘルスケア・サービスの開発を進めており、大手ドラッグストアチェーンにとって大きな競争相手となりつつあります。テネシー州グッドレッツビル市を拠点に全米47州で18,356店舗を運営しているDollar Generalが、店頭でのヘルスケア商品の拡大を開始しました。同社は既にこのヘルスケア事業の拡大計画を昨年の7月に発表し、出来るだけ多くの店舗で、咳止めや風邪薬、デンタル用品、栄養剤、医療用品、健康補助用品、女性用衛生用品などの品揃えを増やすことを盛り込んでいます。

さらに同社はグローバルなコンサルティング・ファームとして知られるマッキンゼー・アンド・カンパニーから、アルバート・ウー博士を副社長兼最高医療責任者として新規に採用。ヘルスケアに関する商品やそれに準ずるサービスのプロバイダーとの関係を確立・強化し、包括的なネットワークを構築すると同時に、手頃な価格とサービスを顧客へ提供する計画です。米国人口の75%がDollar Generalの店舗から約5マイル(8キロ)圏内に住み、現在の医療エコシステムでは十分なサービスを受けられない事が多い農村地域や、都心から遠く離れた地方にも出店を広げているので、独自のアクセスが提供可能である事を強調しています。

またウー博士を含める5人の医療専門家からなるヘルスケア・アドバイザリー・チームも構築しました。

現在は既に1,800店舗でヘルスケア商品を提供しており、年末までに4,000店舗以上に拡大するそうです。このスピーディなヘルスケア商品提供の拡大は、同社の標準的な商品陳列よりも売り場の配分面積を最大で30%広げ、最大で400点以上ある品目が特徴です。同社は一般的なドラッグストアより40%も価格が安く、強力なヘルスケア専門チームを公にした事は、低所得者だけでなくもっと幅広い層にも受け入れられるでしょう。

五十嵐 ゆう子 Yuko Igarashi

流通ヘルス&ビューティコンサルタント
米国在住の流通専門家。グロサリー業、ドラッグストアを始めとする小売流通全体のコンサルティング&通訳を兼ねるスペシャリストとして活躍。また児童教育や美容・健康産業にも精通し、「DIET&BEAUTY」でコラム(米国の健康・美容最新事情)を15年近く掲載中。その他に日本生協連合会生活資料、イズミヤ総研などの執筆を手掛けている。

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