地域の美と健康が動き出した【第55回】(鹿児島県)
「オクラ」は北アフリカ産の野菜。幕末から明治にかけて中国から日本に伝わったと言われています。鹿児島はオクラ生産量日本一、指宿はその80%を生産するオクラの産地です。この指宿で有限会社エールが仕掛ける「OKRA BEAUTY Project」に注目です!
指宿市では、「地域資源を活用した市民の健康づくりとヘルスビジネスの創出」実証プロジェクト(オクラ版)を立ち上げ、オクラとオクラ種子の利活用による健康への効果検証事業として、産学官及び市民が連携して社会実証とその事業化を推進しました。その事業の中でオクラパウダーは開発されました。オクラが持つ高濃度のポリフェノールや食物繊維が手軽に摂れるオクラパウダーは、たちまち市場で認められ、ジャパンメイド・ビューティーアワード2018 インナービューティー部門で優秀賞を受賞しました。
オクラでは初となる機能性表示を目指し、鹿児島純心大学健康栄養学科中野教授によるオクラパウダー摂取による機能性評価試験を実施しました。食後の血糖値上昇抑制効果、便通改善効果、内臓脂肪沈着抑制効果、肝機能庇護作用、血清脂質代謝、血圧のコントロールなどを検証しました。さらに公的機関による食物繊維含有量(質量の約50%)や高濃度ポリフェノール含有による活性酸素除去能(抗酸化能)の検証が取れています。
商品の裏付けとなるエビデンスは、先を見据えたオクラビジネスの強い味方です。オクラパウダーは味、香りにくせが無く、他の食品との相性も良いので、新たな素材とのマッチングで新しい価値づくりをサポートする役割も期待出来ます。現在、有限会社エールのオクラ部門ではオクラ茶とポタージュスープを開発。生活シーンにあわせて手軽にオクラを楽しめるのが嬉しいですね。
さらに、オクラの種子エキスは線維芽細胞を活性化する作用を持ち、その作用を活用した美肌マスクも開発されました。オクラは化粧品原料としても使えるのです。
指宿発「オクラ・テック」は、①食用のためのオクラの研究と活用、②健康のためのオクラの研究と活用、③美容のためのオクラの研究と活用の3つの柱を立て、オクラの可能性の最大化を目指します。オクラが生み出す美と健康。今後の発展がとても楽しみです。
(独)中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援)
植田 尚子
百貨店でのバイヤー経験を活かし、ライフスタイル視点で幅広く支援を行っている。