連載

Food-as-Medicine Trend offers new opportunity(医食同源の潮流が業界へ新しい好機をもたらす)

オーガニック&ナチュラル専門のスーパーマーケットチェーンWhole Foods Marketの創業者で現在のヘルス&ウエルネス時代を築いたジョン・マッケイ氏が、2022年の9月を

もってリタイヤするニュースが発表されました。マッケイ氏が店名に使用したWhole Foodsとは自然のまま手を加えていない(農薬などを使用しない)栄養価の高い食品を指し、それを食すことで免疫力に優れた健康な肉体を構築させるというビジョンを掲げてきました。

Whole Foods Marketが起業する以前は、無農薬や免疫力効果のある食品は”健康食料品店“というカテゴリーで全米に存在していましたが、多くの店が菜食主義などの意識が高い人々向けで、一般消費者には入店しづらい雰囲気でした。そのイメージを一新し、お洒落で明るく、誰もが入って買い物をしたくなる店を創造したのがWhole Foodsでした。またWhole Foodsは、早くから店内キッチンで調理したナチュラルでヘルシーな食事を提供してきました。1990年半ばには一般的なスーパーマーケットではあまり見なかったEat inを設置。ヘルシーでナチュラルな素材を用いた食事を持ち帰らなくても、すぐそこで食べられる場所をつくったことで、同社の成長と認知度を上昇させました。

いくら体に良いという流行の食品を購入、または誰かからもらったとしても、その場で食べなければ結局は賞味期限が切れ、処分してしまう人は少なからずいます。また体の薬となるような食品の見た目は、時として美味しそうでない場合もあります。しかし、すぐにその場で食べることができれば、想像よりも食べやすいと感じたり、それを食べ続けることによる体調の改善を実感することがあります。Whole Foodsは ”Your Health Starts Here(ここから健康への一歩が始まる)” と言うメッセージを掲げて、Food-as-Medicine(食べて体を癒す=医食同源)を米国で浸透させた先駆者でした。そして今、国内で展開している殆どの食品小売業でオーガニックやナチュラル系の食品の取り扱いがメインストリーム化しました。

パンデミックで全米のみならず世界が健康に強い関心を寄せる中、 Food-as-Medicineが消費者とグロサリー業を結びつけるNew Opportunity(新しい好機)となっていく中で、Whole Foods=ジョン・マッケイ氏は、その礎を築いたパイオニアでした。

五十嵐 ゆう子 Yuko Igarashi

流通ヘルス&ビューティコンサルタント
米国在住の流通専門家。グロサリー業、ドラッグストアを始めとする小売流通全体のコンサルティング&通訳を兼ねるスペシャリストとして活躍。また児童教育や美容・健康産業にも精通し、「DIET&BEAUTY」でコラム(米国の健康・美容最新事情)を15年近く掲載中。その他に日本生協連合会生活資料、イズミヤ総研などの執筆を手掛けている。

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