この6月15日よりワクチン接種をすべて終了済の米国民は、基本的にマスク着用の義務がなくなり、その日を境に、小売やサービス店舗へ入店するための必須事項として掲げられていた入店時のマスク着用義務の掲示内容が、”接種終了済でないお客様に限り、マスクの着用をお願いします” に変わりました。またカリフォルニア州では、証明が必要なビジネスやイベントへ参加する際に利用できるとして、17日よりコロナワクチン接種証明のデジタルレコードを所得出来るようになりました。
米国でもインドで確認されたデルタ型変異株への感染ケースが発見されているようですが、現在のところは必要な回数を接種した人々の重篤な症状は少なく、死亡者も低いままです。実際の人々の状況ですが、私の住んでいるカリフォルニア州ではオープンスペースのショッピングモールや公園などでは、ほとんど人がマスクを外していますが、逆にグロサリーやサービスを提供する店舗内では8割以上が未だにマスクを着用しています(従業員は100%着用)。一方、お隣のネバダ州ラスベガスやコロラド州では、グロサリーやサロンなどのサービス店の中においても8割近い顧客がすでにマスクを外しているそうです。一時期はニューヨークを超え、全米トップの罹患者と死者を記録したカリフォルニア州なので、人々の中の不安はなかなか拭えないようです。
バイデン大統領が公言した7月4日の独立記念日までに成人の7割以上が接種を終え、コロナ前の生活と経済活動に戻すという目標まで残すところ僅かですが、一応はポストコロナに向けて動いている様子です。
さて最近の米国の健康業界では “Health & Well-being”というキーワードが、数年前まで流行していたHealth and Wellness (健康で、その状態を維持する状態)に代わって頻繁に使用されるようになっています。Well-beingでは さらに心の状態まで健全にし、より幸福を感じる状態にまで引き上げて行くと言う解釈だそうです。リラックスしながらも雑念を取り払い、集中力を高めることでストレスの解消や創造性を高めるマインドフルネスも、このWell-beingの要素の1つに取り組まれています。特に昨年のパンデミック以後は、感染への恐れや、それに直結した様々な問題を危惧し、精神面で病んでしまう傾向が多くの人々に生じ、睡眠障害が多く発生しました。そして十分な睡眠をとれないことが免疫の低下につながり、感染に対して脆弱になってしまうという悪循環に歯止めをかけるのも“Health & Well-being” のコンセプトです。
今年に入って全米で1万店舗近くを展開するドラッグストアチェーンのCVSでテキサス州のスプリング市をはじめ、全米34箇所でメンタルヘルスのコンサルテーションサービスを店内で実験的に開始したのも“Health & Well-being”の延長線だそうです。
五十嵐 ゆう子 Yuko Igarashi
流通ヘルス&ビューティコンサルタント
米国在住の流通専門家。グロサリー業、ドラッグストアを始めとする小売流通全体のコンサルティング&通訳を兼ねるスペシャリストとして活躍。また児童教育や美容・健康産業にも精通し、「DIET&BEAUTY」でコラム(米国の健康・美容最新事情)を15年近く掲載中。その他に日本生協連合会生活資料、イズミヤ総研などの執筆を手掛けている。米国の流通ニュースも毎週アップしております。ご興味のある方は以下のサイトをクリック下さい。