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California Bans All Plastics Bags ( 州法として推し進められる全面的なプラスチック袋の廃止)

カリフォルニア州ギャビン・ニューサム知事は州内のグロサリーを含む小売店のすべてにおいて、プラスチック製レジ袋の配布を全面的に禁止する新法SB1053に署名しました。
これによって従来の“Reusable(リユーザブル(再利用可能)“ と名付けられた有料の厚手のビニール袋の使用を廃止し、州全体で増加しているプラスチック廃棄物対策が徹底的に推し進められます。その要因は10年前に制定されたカリフォルニア州独自の使い捨てビニール袋禁止法の抜け穴をふさぐことを目的としています。現存の法律ではリサイクル可能な一定の基準を満たした厚手のレジ袋を店舗側が販売することを認めていました。しかし調査によると、これらの袋が実際に再利用されたりリサイクルされたりすることはほとんどなく、しばしば環境を汚染して埋立地にうめられる結果となっていると発表されています。
現在、この州法はカリフォルニアのみですが、やがて他州も続くことが予測されており、小売業全体にとっても大きな変革の始まりだと言われております。
時を同じくして全米で約500店を展開し、ナチュラル・オーガニックの総合グロサリーチェーンWhole Foods Market(ホールフーズマーケット)が環境に対する消費者の意識についての調査を発表しました。同社の調査は18歳から27歳の成人70%は気候に配慮した農業の実践を指示し、彼らの55%が環境にやさしい商品に対してより多く支払う意向があり、69%がメーカーのブランドは責任ある原料の調達への変革を訴求するべきであると述べています。さらに回答者の68%は、小売業が扱う商品の持続可能性に対する関する取り組みを含めた情報をもっと提供してほしいと回答してたそうです。
この調査結果を受けてWhole Foods社のジェイソン・ビュシェル最高経営責任者は、同社が創業以来から気候に配慮した農業と責任のある原料や商品の調達を支援する取り組みを更に強化し続ける意向であると述べています。
そして1982年にカリフォルニア州南部で創業し、現在は20店舗を展開中のBristol Farms Market傘下6店舗を出店しているLazy Acresは、2023年度の7月よりハモサビーチ店を手始めに、マイバックを持参した客にEnvirotokens (エンバイロトークン)というおもちゃの10¢(10セント:約10円の価値)コインを渡し、周辺の6つの非営利団体の募金箱を店舗のレジ前に設け、個々が好きな団体を選んでコインを入れる事が出来ます。そして月に一度、店舗でコインを集計して現金に換えて各団体に寄付しています。これらの団体の活動は地元の幼稚園から高校までの教育活動、飢餓の救済、環境保護に重点を置いています。例えば、小学校の環境ブログラムの一環としてハモサビーチのごみを回収するなどのアクティビティもその1つです。
カリフォルニア州を手始めに、米国では一気にプラスチックの廃止へと舵を取ることになります。今後は袋のみならず様々な商品の容器などにも影響を与えていくとされております。

五十嵐 ゆう子 Yuko Igarashi

流通ヘルス&ビューティコンサルタント
米国在住の流通専門家。グロサリー業、ドラッグストアを始めとする小売流通全体のコンサルティング&通訳を兼ねるスペシャリストとして活躍。また児童教育や美容・健康産業にも精通し、「DIET&BEAUTY」でコラム(米国の健康・美容最新事情)を15年近く掲載中。その他に日本生協連合会生活資料、イズミヤ総研などの執筆を手掛けている。

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