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化粧品に11年ぶり新効能“抗シワ”

スキンケア市場への影響は
【特集:スキンケア】

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 今年7月21日、化粧品にシワに対する新しい効能が認められた。ここ数年、停滞しているスキンケア市場にとって、久しぶりに明るい話題だ。急速にとはいかないまでも、市場が活性化すると期待されており、56番目の効能範囲が広がった意味は大きいとされる。


●7 月に抗シワ効能が追加
 化粧品の効能は、平成12 年12 月の厚生省通知によって55項目に限定されていたが、7 月21 日、厚生労働省が薬事法を改正し、新たに56 番目のシワに対する効能が追加された。追加された効能は「乾燥による小ジワを目立たなくする」。
 これは平成19 年12 月に日本化粧品工業会が表示範囲の拡大を要望したもの。専門部会の開催、パブコメ募集を経て、約3年半で認められた形だ。11 年ぶりの追加効能で、緩和は難しいと考えられてきた効能の範囲が拡大されたことを歓迎する関係者は多い。
 表示をめぐっては、当初乾燥によるシワと、紫外線によるシワの2 つの効能の追加が検討されてきたが、紫外線によるシワについては更なる検討が必要として今回は見送られた。ただ、この効能を訴求するためには、日本香粧品学会のガイドラインに沿った臨床試験で効能を評価する必要がある。試験をクリアした製品は、パッケージに効能試験評価済みと表記する。試験に対応できる機関も少なく、各社には問い合わせが相次いだという。
 すでに効能評価試験済みの商品としては、カネボウ化粧品が「エビータ ディープモイスチャージェル」(9 月発売、税込2,100 円)「suisai プレミオリティ」(11 月発売、税込み4,725 円)を発売する。他の大手化粧品メーカーからはこれからだという。
 エステティック向けでは、ナボカルコスメティックスが9月15 日に、「リシェルケア セラクリーム」(30g、12,000 円税別)を発売した。
●ネックはコスト増と認知不足
 この抗シワ効能の追加を業界はどう捉えたのか。各社に聞くと「とりあえず様子を見る」という反応が多い。理由のひとつは試験実施によるコスト増だ。シワへの効果を訴求するための効能評価試験は、最終製品1 品ごとに行う必要があり、ガイドラインでは少しでも処方が違えば別の商品として扱う。試験は、期間が2 ~ 8 週間、費用は方法によって異なるが約150 ~ 400 万円。これが商品1 アイテムごとにかかってくる。価格帯によっては、難しいケースも少なくない。「すぐに対応できるのは大手だけ」という声もある。
 化粧品受託製造メーカーに聞くと、抗シワへの問い合わせは多いとしながらも、実際の案件としては少ないという。また、多大なコストを掛けて試験をしても、有効な結果が出ない可能性があるリスクがメーカーを躊躇させている面もあり、効果的な処方の研究が求められている。今後、実績のある処方を持っているかが、抗シワ製品に関しては受注に影響を与えそうだ。
 もう一つは認知の問題だ。実際に抗シワ訴求商品が市場に受け入れられるか未知数という状況も様子見に拍車を掛けている。表現についても、「乾燥による小ジワを目立たなくする」という効能をそのまま訴求しても消費者には響かないのではという指摘もある。各メーカーが表現を工夫し、広告や雑誌で露出が増えれば、一般消費者にも抗シワ効能が認知され、市場が形成されると考えられる。
●市場は横ばいも万能型コスメ伸長
●効能評価試験のポイントは
以下、詳細は紙面でご覧下さい。
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