【話題の人】
一般社団法人日本温泉気候物理医学会 理事長 猪熊茂子氏
(日本赤十字社医療センターアレルギーリウマチ科部長・リウマチセンター長)
訪日外国人の観光目的の上位に入る“ 温泉”。今後のインバウンドの重要な柱だ。そもそも日本は、温泉地数3,200、国民の年間温泉利用数が延1 億3,000 万という温泉大国。医学の立場で長く温泉を研究する日本温泉気候物理学会の猪熊茂子氏に温泉と美容について話を聞いた。
●日本温泉気候物理学会の活動について
温泉医学の必要が叫ばれ九州大学に温泉治療学研究所が設置されたのが昭和6 年。国立6 大学で相次いで治療や研究が盛んになりました。当学会は東京大学医学部内科物理療法学教室と日本温泉協会学術部を母体に1935 年に結成されました。
以降、日本医学会の分科会として、温泉・気候・物理医学を研究し、理学療法や他の医療応用への推進をめざして活動しています。会員の半数は「温泉療法医」で、患者に対し正しく温泉・気候・物理療法指導ができる医師が現在1,000 人を超えています。その内、一定以上の臨床経験と研究業績をもつ「温泉療法専門医」は222 名になります。
●温泉の美容効果について
人の美しさの要素には、「顔形」の他にも「皮膚」や「姿勢」やからだ全体から発する「活力」や「リラックス」感があると思いますが、これらの多くは温泉の効果とも密接に関係があります。
医学的に考えた時、皮膚は外界との境界として色々な働きがあります。まず物理的な刺激に対してのクッションの働き、そして水分の保全や、紫外線防御、外部からの異物のブロック、血管や汗腺での熱交換、体臭の発散、触覚としての感覚器の働きなどです。水分が保全されていると皮膚はキレイと感じるし、血流があれば色素が沈着せず明るい皮膚になります。一方で陽に当たってばかりいて紫外線をメラニンでブロックしなければいけない状態が多くなれば皮膚は当然汚くなります。
キレイな皮膚の条件は、まず皮膚疾病が無いこと。続いて清潔で垢・ふけがなく、シットリしてきめ細かくシワがない、血流がよくイキイキしている、何より全身が健康であることなどが考えられます。実はこれらは温泉で改善されることばかりです。
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