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マイクロ波加熱装置が食材乾燥や茶葉焙煎で引き合い
炉内ワーク温度の測定を実現する新テスト設備も構築

ミクロ電子は、きめ細かな加熱制御を可能にするマイクロ波デバイスの自製により特徴のある各種マイクロ波加熱応用装置を開発している。主力のゴム工業や窯業・セラミック工業のほか、食品、医薬品、化学分野へもマイクロ波加熱装置を展開し、着実に受注を積み重ねている。今期は特に下半期納期案件の対応で工場のフル稼働状態が続いており、この状態が来期初頭まで続くとしており、先行きの見通しも良好だ。

食品分野では、食材の防カビ、スナック食品や即席麺の具材や米菓の膨化乾燥、チョコレートやガムベース等の熱入れ等でマイクロ波加熱装置の受注・納入実績も豊富。回転ドラム式マイクロ波連続加熱乾燥装置「マイクロドラム」が茶葉の乾燥・火入れや、ゴマなどの焙煎に特化した装置として採用されている。最近では、作業環境改善の視点から工場内の温度上昇抑制策が求められるなか、熱源にならない設備との評価からマイクロ波加熱装置の引き合いが増加。生産工程でのCO2発生量削減も見込めるとの評価も加わり、環境保全意識の高い食品製造業で注目されて今後需要が増加するものとみられる。

同社では、新製品開発に取り組む食品メーカーなどから寄せられる採用前提でのマイクロ波加熱テストの要望に応え、テクニカルセンター内に各種のマイクロ波加熱テスト装置を設置(専用HPはhttp://www.microdenshi.co.jp/test/)。容積が大・中・小のオーブンテスト機から減圧オーブンテスト機、回転ドラム式撹拌テスト機を完備している。

さらに生産ラインとしてイメージしやすい搬送ベルト幅600mmの連続テスト機も揃えており、様々な要求の実現を可能にしている。連続テスト機は、より幅広い用途に対応できる態勢を整えるため、最高250℃までの熱風併用を可能としたほか、昨年同期には12kWだったマイクロ波出力を18kWにアップしており、さらに来期早々にはその出力を24kWまで増強する予定だ。

テクニカルセンターは、テスト機を使って多様な評価テストを行ない、新製品開発とその生産技術の確立に加え、スケールアップを可能にする設備検討用データの収集も行う。ユーザーの新製品開発にともなうテスト依頼では、テストを通じてマイクロ波加熱装置の新規導入にまで進展するケースが多く、最近の新製品開発案件でもテスト対応から生産装置納入を果たしている。今期はさらにサーモグラフィカメラでマイクロ波加熱時の炉内のワーク温度を測定しながらテストできる新設備を構築。測定温度データをフィードバックすることで製品に最適な加熱条件をコントロールできるほか、過加熱によるワークの発火検出に対しても迅速に対処できるため、安全対策効果も高い。

なお、同社では、食品工場の排水処理過程で発生する汚泥ケーキの乾燥用途でもマイクロ波加熱装置活用の可能性があるとしており、今後の市場開拓を検討している。

サーモカメラの画像


マイクロ波出力1000W  真上から撮影

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