三井製糖では、スイーツ、スポーツ、医療の3分野を柱とし、パラチノースの啓蒙と拡販を進めている。
パラチノースは4kcalのエネルギーを有しながら、消化吸収がゆっくりであるため血糖値とインスリン値の上昇が緩やかであるという特長を持つ糖質。医療分野では濃厚流動食、スポーツ分野ではアスリートの補給食に配合する理想的なエネルギー源として利用が進んでいる。
ゆっくり消化吸収する糖質エネルギーとしての健康効果を啓蒙する「スローカロリープロジェクト」も続けられており、パラチノースの需要拡大に一役買っている。現在、機能性表示食品制度の見直しが検討されており、対象成分となることが期待されている。
パラチノースを糖質量の15%以上配合することで、砂糖や小麦粉など他の糖質の血糖値上昇を抑制する効果が期待できるため、スイーツ分野では美味しさと健康効果を兼ね備えた製品づくりができる。
本年5月には高島屋と共同で美味しさとヘルシーさを両立させた和洋菓子の新コレクション「スローカロリー倶楽部」を立ち上げ、20以上の店舗が開発したパラチノース配合の和洋菓子を販売。その反響は大きく、大北海道展やパティシエの消費者向け講演会開催、神戸の老舗洋菓子店とのコラボレーションなどに発展し、「スローカロリースイーツ」の多角的な拡大に繋がっている。
スポーツ分野では、ボディビルダー向けプロテイン製品はもとより、特にエネルギー補給戦略が必須であるトライアスロンやトレイルランニング、サイクル分野への浸透が進んできた。ジェル製品に続き、糖質量を多くして高カロリー化したハイエナジードリンクも開発され、ブルボンでは8月に初めてのスポーツ向けブランド「WINGRAM(ウィングラム)」で飲料・ゼリーを発売した。
また、井村屋「スポーツようかん」のヒットに続き、「スポーツカステラ」やスポーツ向け「くるみ餅」も上市された。これらは一般食品形態であるために登山食やおやつなど、コアなスポーツ層だけでなく一般の幅広いシーンでの利用が期待できる。このような“食品形態を利用したスポーツフード”にはパラチノースを積極的に広げていくという。
なお、パラチノースを配合した消費者向けの製品「スローカロリーシュガー」(写真)は9月にリニューアルし、量販店向けの販売が広がっている。