小麦ブラン研究会では1月30日に都内で「新時代の『ファイバーデトックス』食物による相乗効果とは」と題したメディアセミナーを開催した。
●「腸内細菌に届く炭水化物」が重要
第1部では大妻女子大学家政学部食物学科教授の青江誠一郎氏(小麦ブラン研究会)が「2つのMAC 小麦ブランとバーリーマックスの相乗効果の可能性について」と題して講演。
MACとは、Microbiota-accessible carbohydrates(発酵性食物繊維:MACs)のことで、「腸内細菌に届く炭水化物」という新しい概念。スタンフォード大学のソネンバーグ博士が提唱した。
腸内フローラが乱れる(disbiosis)ことで、腸内の細菌の種類の減少(単純化)、本来はあまり多くない細菌種の異常な増加、有用菌と言われる細菌種の減少が起こり、炎症性腸疾患、肥満、糖尿病、がんなどの疾患に繋がる。このことからも腸内環境を良好に保つことが大事であり、そのためには大腸の奥に棲む腸内細菌にまで届く食物繊維が重要になる。
小麦ブランは不溶性食物繊維だが水溶性のアラビノキシランも含み、便通改善だけでなく、酪酸産生量増加、ムチンの産生促進などの効果も判明している。小麦ブランとMACを組み合わせることで腸内環境改善のための相乗効果が得られることが試験で確認された。
小麦ブランとレジスタントスターチを組み合わせた動物試験では酪酸やプロピオン酸の増加を、ヒト試験では短鎖脂肪酸濃度の上昇とp-クレゾール濃度の低下を確認済み。さらに小麦ブランとスーパー大麦「バーリーマックス」を同時摂取による相乗効果については、3月17日に開催の日本農芸化学会2018年度大会にて発表される予定。
バーリーマックスにはβ-グルカン、レジスタントスターチ、フルクタンが含まれており、腸内の全域にわたり資化が起こるのが特徴で、小麦ブランと組み合わせた際の相乗効果に期待がかかる。
●MACにより腸内環境を整え、日常生活でのコンディションを考える
第2部では、トークセッション「MACによる腸の“コンディショニング”を考える」が行われた。京都府立医科大学消化器内科学教室准教授の内藤裕二氏、日本体育大学体育学部の杉田正明氏、司会として日経BP総研マーケティング戦略研究所・主席研究員の西沢邦浩氏が参加。
アスリートの世界で一般的になっている「コンディショニング」の考え方を応用し、一般の人でもコンディションを考えることが大事であるとし、より良いコンディションの為にも腸内環境を整えることが必要だと議論された。